ぬるま湯に浸かっていると、人間は進歩しません。
ぬるま湯に浸かっていると眠くなりませんか。
気持ちよすぎるからです。
インフレがやってきた後は、デフレが来ます。
デフレが終われば、またインフレです。
資本主義であるかぎり、好況と不況は交互にやってきます。
古代ギリシャの哲学者、ヘラクレイトスは言いました。
「万物は流転する」と。
あらゆるものは変化して、同じ状態をとどめません。
不況を乗り切るために、景気の状態や特色に合わせて、会社の事業内容を変えます。
根っから変える必要はありません。
自社の強みである軸をそのままにして、軸の周りを変えるだけです。
同僚たちと飲みに行くと、必ず出る話題があります。
「給料がいつまでも上がらない」という愚痴です。
いつも聞いてうんざりする内容です。
不況になれば動き出すのは、国や政府です。
経済が大きく傾いているときに黙っているはずがありません。
たしかに国や政府は大きな力を持っています。
不況とは、自然淘汰と同じです。
強いものが生き残り、弱いものが消えていくという自然界の摂理です。
強いものが生き残るのではありません。
台風が来たとき、折れる大木と折れない大木があります。
どちらも大きな大木です。
大きさも同じくらい。
不況に強い組織は、不況が来る前に準備をしています。
大木は、なぜ台風が来ても倒れないのか。
それは、深くて幅広い根を生やしているからです。
地震に対して「頑丈な家」と「もろい家」があります。
新築で外観が良い家のほうが頑丈そうに見えますが、そうとは限りません。
外観では判断は難しい。
「種の起源」で有名なダーウィンは言いました。
「強い者、頭の良い者が生き残るのではない。変化するものが生き残るのだ」
地球上には、数多くの生命体がいます。
不況には「コスト削減」という話が必ず出てきます。
経済が傾く噂を耳にすると、社員大勢が集まり、会議を開きます。
「そろそろコスト削減が必要かな」という話が、ちらほら出始めます。
1970年代後半、イギリスとフランスが共同開発した、一大国家プロジェクトがありました。
世界初の超音速ジェット旅客機「コンコルド」です。
スピードは、マッハ2.0。
ある日、カフェでコーヒーを飲んでいると、若い女性2人が真横のテーブルに座りました。
ふと隣の人の会話が耳に入ってきました。
「久しぶりだね。元気していた。最近どうしている?」
不況の時期「これはよくないだろう」という信じられないニュースを目にしました。
具体的な会社名は出せませんが、ある有名な大手自動車会社の展示場のことです。
不況のため、展示会で来客に対するコーヒーや紅茶の提供まで取りやめるというニュースでした。
不況になれば、コストカットはどこも同じです。
そのコストカットにはしていい部分と、してはいけない部分があります。
まずは社内で使われていない部分や減らしてもいい部分などを見つけて、カットするのは正解です。
不況になると、一般的に出無精になります。
社員はお金がないので、行動を控えたり、購入を控えたりします。
家の中にいる時間が増えたりします。
不況のときには、会社の業績が悪くなります。
「この会社は大丈夫か」
「もっといい会社があるはずだ。辞めたい」
業績が良かった好況のときには、クレームは無視しがちです。
多少のクレームを無視しても、景気がいいときには、やはり売れる。
調子のいい時期です。
明るい父親・母親から育てられた子どもは、やはり元気になります。
子どもは、両親の顔色をうかがっているものです。
親の表情が暗いと「元気ないな」と思い、話しかけにくくなったり行動を控えたりしてしまいます。
不況のときには、社員の士気が低下しがちになります。
社内の中では「不景気だ」「不況だ」「節約だ」という暗い話ばかり。
「頑張ろう、頑張ろう」と思いますが、なかなか頑張れない。
不況のとき、社員の士気が低下しがちです。
そのときに効くのは「表彰イベント」です。
1週間に一度、頑張った社員を選び出し、小さくていいので表彰式を開いて表彰します。
不況のときには、各種メディアでその状況が報告されます。
ニュース・新聞・雑誌などで「不況だ、不景気だ」と騒いでいますから、会社内でも当然話題に上がります。
「最近は不況らしい、不景気で何も売れない」
夜の町、ネオン街を歩いていると、融資をする看板やチラシを見かけます。
「電話1本、審査なし」
「即日で30万までご融資いたします」
不況がやってきたときに、大打撃を受ける会社には共通点があります。
無理な買わせ方で売り上げを伸ばした会社です。
無理な買わせ方とは、人間心理を利用して、騙せるような買わせ方のことを言います。
お客さまあっての経営です。
お客さまが1人もいなくなれば、当然経営は破たんです。
売り上げさえ上げればいいと考え、本当にお客さまのことについて考えているのを忘れていませんか。
不況で会社の調子が悪いときには、残業が多くなります。
少しでも売り上げを伸ばすために、社員が定時を過ぎても帰れない。
不況の時期には乗り越えるべき山がたくさんあります。
【まとめ】
不況が近づいて、人の削減に踏み切るときがあります。
そういうとき上司が独断で誰を切るのかを決めるのは良くありません。
不況には、必ず出る言葉は「節約」と「削減」です。
カラー印刷を控えてインク代を節約したり、仕事をしない昼食時は部屋の電気を暗くしたりなど節約を心がけます。
場合によってはボーナスの縮小という話も出ることでしょう。
社員との結束は、うまくいっているときにはできません。
うまくいって当たり前だからです。
仕事はあって当たり前。
ぬるま湯に浸かっていると、人間は進歩しません。
ぬるま湯に浸かっていると眠くなりませんか。
気持ちよすぎるからです。
気持ちいいから「それでいいじゃないか、十分だろう」と思います。
何も改善しようとせずぼうっとして、現状維持を続けます。
たしかにぬるま湯は気持ちいい。
しかし、ぬるま湯に浸かっている時点で、大変危ないです。
気持ちよさにかまけて、気持ちがたるんでくるからです。
ぬるま湯に浸かっている時間が長いほど、だれる気持ちも大きくなり、自然と悪影響が出てきます。
経費の無駄が出てくる。
社内の情報の巡りが悪くなる。
社員のやる気が低下する。
気持ちよさにかまけて、企業全体がだれてしまいます。
悲しいかな。
こんな状態でも景気がいいときは、大きな問題になりません。
経済状況が上向きなので、勝手に売り上げは上がります。
しかし、いずれ不況が訪れます。
景気には波があり、好況と不況は交互に繰り返しやってきます。
不況になれば、今までぬるま湯に浸かっていたことに気づきます。
まだ斬新で意気込みが強い会社でも、景気がいい時期にだれて、不況のときに焦ります。
「これは大変だ」と目が覚め、ようやく本気になり始めます。
不況が来たら、むしろ喜んでください。
今まで表面化していなかった無駄を駆逐するチャンスと考えます。
景気が悪いからこそ、会社の悪い体質が表に出てくるようになります。
必死になって今まで悪かった点をひたすら改善しましょう。
不況を最大限に生かしたとき「本当に強い企業」へと成長するチャンスになります。
インフレがやってきた後は、デフレが来ます。
デフレが終われば、またインフレです。
資本主義であるかぎり、好況と不況は交互にやってきます。
必ずです。
景気はよくなったり悪くなったりして当然です。
企業としては、好景気のときには調子よく、不景気のときには売り上げも落ちて悪循環になります。
景気がいいときには調子が良くなりますが、景気が悪いときには売り上げが急に落ちます。
経済全体の状況は台風のようです。
政府や国など大きな力が関与すれば、経済状況を少しは変えることが可能でしょう。
しかし、企業1つの力で景気を変えるというのは難しい。
零細企業ともなれば、なしのつぶてです。
ここで大切なことがあります。
経済状態を変えようとしてはいけません。
大変巨大なので、企業1つの力ではなかなか変えることは難しいからです。
では、どうするか。
経済を変えようとするのではなく、会社内部を変えます。
「国がなんとかしてくれるだろう」「政府がうまくやってくれるに違いない」という期待は完全に捨てることです。
不況なら、不況に合わせて会社の体質や特色を変えます。
社内の体質を変えるため、適切な人事異動をする。
仕事のやり方を今すぐ変える。
今すぐ無駄を見つけ、排除する。
不況に合わせた商品を開発する。
経済状況は変えられませんが、会社内部なら努力しだいで変えることができます。
それは今日、今すぐ実行できることです。
もちろん1からすべてを変えるわけではありません。
軸になる部分を残しながら、軸を取り囲む部分を変えて行きます。
カメレオンのように本体はそのままで、皮の色だけ変えます。
それだけで周りの風景に溶け込み、生き延びられています。
その変化をできないといけない。
変化を嫌い、ただ不景気が去っていくのを待っているだけでは大打撃です。
不況に合わせて、会社を変化させるのです。
古代ギリシャの哲学者、ヘラクレイトスは言いました。
「万物は流転する」と。
あらゆるものは変化して、同じ状態をとどめません。
それは宇宙が誕生してから、1つも例外がありません。
あらゆるものが変化する。
変化に変化を繰り返す。
不景気になって売り上げが落ちて、そのまま廃業する企業があります。
そういう企業には、決まってパターンがあります。
過去の成功にすがっています。
「昔うまくいったから、今後もうまくいくだろう」
昔のやり方に執着して、変えようとしません。
不景気がやってきても、のんきに考えています。
「今は特別な時期。昔のやり方を続けてしばらくすれば、またうまくいくだろう。あのときうまくいったのだから」
そう思います。
信じて疑いません。
過去に実績があるからです。
完全に頭の中では「まだ通用するはずだ」と思っています。
過去の成功を捨て切れていない。
実績がある方法というのは素晴らしいですが、これほど怖いこともありません。
思い出しましょう。
万物は流転することを。
あらゆるものは、変化します。
同じところにとどまることもありませんし、同じ形ということもありません。
変化をしながら移動していく。
これが世の常です。
過去の成功は、そのときはたしかにうまくいったのでしょう。
しかし、そのときはそのときの話です。
今は時代が変わり、消費者の考え方も行動も変わりました。
もはや過去のやり方は通用しません。
いかに過去の成功を捨てられるかどうか。
新しい成功パターンを見つけられるかどうか。
これが不況対策なのです。
不況を乗り切るために、景気の状態や特色に合わせて、会社の事業内容を変えます。
根っから変える必要はありません。
自社の強みである軸をそのままにして、軸の周りを変えるだけです。
不況だからこそ人々が求めていることを想像します。
そのために会社は何ができるか、を考えます。
景気の悪さを逆手に取る。
所得の少ない時代なら、その時代に合った事業内容を考える。
これがいちばんの不況対策です。
では、具体的に「不況に合わせる」とは、どういうことなのでしょうか。
ここで、今HAPPY LIFESTYLEが取っている対策を紹介します。
こういうことはあまり公にしないほうがいいですが、まあ特別です。
たとえば、HAPPY LIFESTYLEでは定期的に本を執筆しては、サイト上で紹介しています。
大半は、私がそのときの気分に任せてテーマを考えています。
気分に任せるのは、はかどりやすいからです。
やはりやる気があれば、集中力も出て、仕事そのものが楽しくなります。
しかし、今は景気が悪い時代です。
そこで私は対策を考えました。
景気が悪い時期には多くの人が、不況らしいキーワードで、情報を探します。
「不況対策」
「節約」
「倹約」
「リストラ」
「生き残る」
不況には不況に関する情報を求める人が増えるため、こうしたキーワードの検索回数が、増えやすくなります。
私が取れる対策は、この不況に検索されやすいキーワードで執筆することです。
不況に合わせたコンテンツを紹介すれば、逆に不況のほうが、好調になる場合があります。
不況を逆手に取ります。
まさに今この瞬間も「不況」のテーマで書いています。
これも不況対策の1つです。
これそのものが不況を逆手に取った対策です。
不況を逆手に取って、売り上げが伸びそうなことを考え、突破口を見いだしましょう。
景気がよければ、そういう状態を生かす。
景気が悪ければ、そういう状態を生かす。
常にこの発想です。
逆に不況を味方にできます。
これが成功したとき、不況に強い企業が出来上がります。
「むしろ不況のほうが売り上げは伸びる」という、不思議な経験をするでしょう。
同僚たちと飲みに行くと、必ず出る話題があります。
「給料がいつまでも上がらない」という愚痴です。
いつも聞いてうんざりする内容です。
そもそも飲み会はアルコールが入っているので大した話は出ませんが、やはり大した悩みではありません。
給料がいつまでも上がらない理由は、単純明快です。
いつまでも同じレベルの仕事しかしていないからです。
その人は、会社のぬるま湯に浸かって、いつまでも同じレベルの仕事をしています。
言われた仕事を言われたままにやります。
もちろんこれでいいですが「それ以上の何か」をしようとしません。
期待どおりの仕事で終わらせ、期待を超える仕事をしていない。
同じレベルの仕事をしているかぎり、永遠に給料は同じです。
いきなり給料を上げろと上に言っても、確実に却下されます。
本当に給料を上げてほしいと願うなら、まず給料に見合わないレベルの高い仕事をしましょう。
仕事の量を2倍に増やし、仕事の品質を2倍向上させます。
明らかにほかの社員より仕事ができるというところを見せて、アピールします。
言われた仕事を仕上げるのはもちろん、それ以上の期待を上回る仕事をします。
「期待を超える仕事をする」ということです。
上を驚かせましょう。
あなたの仕事量が2倍速くなり、2倍の質が上がれば、必ず給料は上がります。
それだけ仕事ができるようになれば、社内で目立ちます。
そういうときに給料アップのパターンは、2種類あります。
あなたの仕事のレベルが著しく向上すれば、上の人は「あの人なら多くの部下を率いることができるだろう」と役職が上がります。
もし、リーダー肌ではないと判断された場合でも「技術手当」が付き、給料を上げてくれます。
「ただ長く在籍していれば自動的に給料アップ」という時代は終わりました。
年功序列は崩壊し、今では成果主義の時代です。
給料を上げてもらいたければ、成果から先に出せばいいのです。
不況になれば動き出すのは、国や政府です。
経済が大きく傾いているときに黙っているはずがありません。
たしかに国や政府は大きな力を持っています。
経済状態にメスを入れ、悪循環を断ち切る強い力があります。
巨額の金を導入したり、あっと驚く政策を実施したりなどします。
そこで企業は期待します。
「国がなんとかしてくれるだろう」
「政府がうまくやってくれるに違いない」
大きな期待を抱いてしまいます。
しかし、ちょっと待ってください。
その政策が実施されるまでには、時間がかかります。
巨額の金が動くため、多くの話し合いを重ね、何度も審議を重ね、慎重になります。
長い時間を要し、数カ月かかって当然です。
この時間は、重要です。
国や政府の助けを待っているうちに、不況で自社は売り上げが落ち続け、あっという間に廃業です。
国や政府に期待しないことです。
別に国や政府が悪いと言っているのではなく、初めから頼り切ってしまおうという姿勢がよくない。
初めから期待を抱いてしまうから、なんとかしようという自社の切迫感が薄れます。
補助金のような何らかの助けが得られれば、儲け物と思うくらいでいい。
期待は完全に捨てることです。
そのくらいの決断が必要です。
では、どうするか。
今すぐ会社内部を変えます。
国や政府の政策の効果は時間がかかりますが、会社が打ち立てる不況対策は、速攻性があります。
アイデアや工夫は、今日、今すぐ挑戦できることです。
待つのではなく、今すぐアクションを起こします。
このスピードが重要です。
変化のスピードは速ければ速いほどいい。
不況には節約志向になるのはわかりきっていることです。
その不況状態における人々の心理を、広く深く想像しましょう。
何かいいアイデアはありませんか。
多くの人が節約志向になれば「節約」と「自社の強み」を結びつけてみましょう。
不況だからこそ、売れそうな商品を開発します。
不況だからこそ、売れそうなネーミングを考えます。
不況だからこそ、売り方に工夫を凝らします。
今すぐ不況を逆手に取って、対策を打ち立て、実施する。
国や政府とは違い、自社には「速攻性」という強力な不況対策があるのです。
不況とは、自然淘汰と同じです。
強いものが生き残り、弱いものが消えていくという自然界の摂理です。
強いものが生き残るのではありません。
生き残ったものが、強いです。
経済の世界にも当てはまります。
生き残っているのは、どのような企業でしょうか。
必ずしも有名企業・大企業だからとは限りません。
大きな会社でも倒産することはありますし、小さな会社でも生き残ることができます。
不況時、企業はふるいにかけられています。
「本物か、偽物か」というふるいです。
「人々から本当に求められる商品やサービスを提供しているか」ということです。
「これがないと生きていけない。生活の一部だ」
そういう人々の生活になくてはならない商品力・サービス力がある企業は、不況時、生き残ります。
もちろん売り上げは低下するでしょうが、本当に人から求められていれば、やはり売れます。
不況時の打撃は小さい。
そういう方向に目を向けることです。
一時的な広告で、無理に売り上げを上げた偽物なら、不況時、あっという間に消えてなくなります。
人々から見向きもされなくなります。
宣伝したから売れた商品・サービスは消えて、本当に価値ある商品・サービスが売れ続けます。
この明暗がはっきりわかれます。
本当の力があるかどうかです。
自社の経営を振り返るいい機会です。
自社の得意分野を見直す時期に来ていると考えるのです。
台風が来たとき、折れる大木と折れない大木があります。
どちらも大きな大木です。
大きさも同じくらい。
しかし、台風のような強い風が吹いたとき、一方は折れて、もう一方はびくともしません。
なぜこうした差ができるのか。
折れる大木は、根が貧弱で、浅いからです。
往々にして人工植樹でよく見かける光景です。
基礎が弱く、本当に強い土台が出来上がっていません。
人工的な薬品などを使って、成長を早めた木は折れやすくなります。
成長を早めた木は、自然災害に弱い。
本来、植物は、土からの栄養を吸収して、土の上の木へと送られます。
根から送られてきた栄養をもとに、茎を伸ばし花を咲かせます。
しかし、人工的な薬品などを使っていると、土から吸収しなくても、栄養を取ることができるようになります。
栄養は取れますが、根の広がりが小さくなります。
人工的な栄養によって、成長は大きくなりますが、成長は土の上だけ。
土の下の根は、貧弱なままです。
土の上と下とは、成長の具合がアンバランスになっています。
それに比べ、自然の大木は折れません。
自然の大木は、土から栄養を吸収して大きくなります。
大きくなるためには、さらに栄養が必要です。
そのとき、根はさらに深く、さらに広く伸びようとします。
その根の深さや広がりは、栄養の吸収力と同時に、力強い土台へと変わっている。
土の下が伸びて、次に土の上が伸びる順がきちんとしています。
月日をかけて、成長した土からの栄養をじっくり吸収し、着実に強い根を生やします。
長い時間をかけることの素晴らしさです。
本当の成長は自然のように時間がかかりますが、台風が来たときにも折れない木ができます。
企業でも同じです。
急いで成長する企業は、不況にもろいです。
取り急ぎ、売り上げアップを急いでいるので、企業としての土台をつくる時間がありません。
売り上げがいいからと、レストラン経営で店舗数を増やし、急拡大するケースがあります。
店舗を増やせば、たしかに売り上げも上がることでしょう。
しかし、どこか楽をして、成長を急ごうとする戦略は良くありません。
不況が来たときに一気に裏目に出るからです。
急いで広げたため、すべての店舗に気を配る余裕がなくなります。
さまざまな障害が一気に表面化します。
社員の教育不足。
商品の質の低下。
基礎の部分がおろそかになり、赤字経営になってしまいます。
土台が崩れれば、どんなに大きなピラミッドも崩壊です。
本当に急成長をするなら、それ相応の努力が必要なのです。
不況に強い組織は、不況が来る前に準備をしています。
大木は、なぜ台風が来ても倒れないのか。
それは、深くて幅広い根を生やしているからです。
土の下で表には出ない部分ですが、そういう土台は確実に強さになります。
台風が来てから急いで根を伸ばそうとしても、無理な話です。
根を伸ばすためには、膨大な時間がかかります。
台風が来てから急いで根を伸ばそうとしても、そううまい話はありません。
普段、いかにこつこつした成長をして根を伸ばしていたかです。
台風が来たときに耐えられるかどうかは、実は台風が来る前の段階が重要です。
不況が来る前に企業は何ができるのかというと、こつこつした成長を積み上げることです。
急がず、焦らず、確実な成長をする。
何のことはない、いちばんの不況対策です。
むしろ楽をして成長をしたり、むやみに急いで成長しようとしたりすると危険です。
十分な土台がないため、いざ不況がきたときに、倒れやすくなります。
成長には時間がかかる。
時間のかかった成長こそ、本当の強さです。
根を深く広く生やした大木が台風に耐えられるように、時間のかかった成長をした企業ほど不況にも強くなるのです。
地震に対して「頑丈な家」と「もろい家」があります。
新築で外観が良い家のほうが頑丈そうに見えますが、そうとは限りません。
外観では判断は難しい。
地震に耐えられるかどうかのポイントは、床の下や天井の上など、そうした普段目に見えない部分に隠れています。
手抜きをして建築された家は、地震が来たとき、すぐ壊れます。
つい見えるところばかりに力を入れ、見えない部分を手抜きしたからです。
たしかにお客さんが直接目にするのは、外観です。
立派な外観のほうが品質は高いように見え、売り上げに直結します。
しかし、大きな地震が来たときにばれてしまいます。
その外観は、偽りの仮面であったことが。
外観も重要ですが、見えない部分はそれ以上に重要です。
床の下や天井の上など、そうした普段目に見えない部分に本当の商品価値が存在しています。
直接目に見えないところこそ、注意を向けるべきです。
たとえば、サポートセンターの人たちです。
サポートセンターの人たちがしっかり役目を果たしていれば、お客さまからのクレームを商品開発に生かせるでしょう。
また流通の仕組みも重要です。
流通経路がしっかりしていると、交通事故で道路が封鎖されていても、回り道できるようなやり方を取れます。
バーゲンセールやイベントなどに間に合うように仕入れの流通経路を確実にします。
会社内での会議です。
「これからはどういう服が売れるだろうか」
「消費者の好みはどう変化しているのだろうか」
「そのためにいちばん求められる商品とは」
そうしたところで行われる会議で、将来に直結する話が進められています。
すぐ売り上げに直結はしないから、手抜きをしがちな見えない部分を、あらためて強化です。
不況こそ「見えないところ」に力を入れる時期です。
「種の起源」で有名なダーウィンは言いました。
「強い者、頭の良い者が生き残るのではない。変化するものが生き残るのだ」
地球上には、数多くの生命体がいます。
海の中の魚たち。
陸の上の哺乳類たち。
空を舞う鳥たち。
地球は46億年の歴史の中で、水中・陸上・空中など、さまざまな変化を遂げました。
その大変化の中で、生き残るために変化に適応し、姿形を変化させた結果です。
初めは小さな単細胞が始まりといわれています。
しかし、海の中や陸の上など、各自の環境事情に応じて、生き残るべく適切な変化を遂げてきました。
その結果、多くの種が誕生したといわれています。
「環境の変化によって種が生まれた」
ダーウィンはこう言いたかったのでしょう。
生き残っているだけで「強い」という証拠です。
陸海空と生きている場所こそ違いはありますが、環境適応に成功し、生き残っているだけで、種としての成功を収めています。
強いから生き残っているのではありません。
変化するものが生き残れる。
生き残ったものが強い。
変化ができなかった、あるいは変化に遅れたものは消えます。
変化していく環境の中、生き残れるように素早く変化を遂げた結果、種が存在し、今「生」を満喫しています。
現存する生命体は、地球の目まぐるしい環境の変化に耐えた優秀な生命体です。
DNAは、優秀な品種を残そうとしています。
私たちは、こうした生き残っている生物たちから学ぶ点が多くあります。
不況にはどう立ち向かうのか。
「強くなろう」という発想は捨ててください。
「生き残る」という発想への転換です。
強いなら、恐竜たちは生き残れたはずです。
しかし、恐竜は見事絶滅してしまいました。
逆に、小動物や微生物たちのような弱い生き物のほうが、急速な地球環境の変化にいち早く対応し、生き残ることができました。
それが本当に強いです。
「増強と拡大」ではありません。
「変化と適応」です。
これが不況で生き残るコツなのです。
不況には「コスト削減」という話が必ず出てきます。
経済が傾く噂を耳にすると、社員大勢が集まり、会議を開きます。
「そろそろコスト削減が必要かな」という話が、ちらほら出始めます。
不況が始まれば、また会議を開いて「どこか削れる部分はないか」とようやく重い腰を上げます。
みんな、あまり変化をしたくないし、痛みを感じたくない。
お互いの顔色をうかがいながら、無難な改善案を挙げます。
しかし、不況は進みます。
さらに不況が進むようならば「もっと削ろう、さらに削ろう」とまた会議を開きます。
その間に、小さな改善が繰り返され、小さな痛みを味わうことになりますが、なかなか立ち直るまでにはいかない。
ついに不況が深刻になったとき、腹を決めます。
「このままではいけない。改革を起こそう」
大胆で新しいやり方を決意します。
「それは無理だろう」という意見が出ますが、不況だからという理由で仕方なく進めます。
「数回の改善の後、最後に改革」という流れです。
自然な流れですが、ちょっと待ってください。
段階を踏んで、少しずつコストを下げていくのは、実はいちばん効率の悪い方法です。
実はいちばん痛みが大きいパターンであり、最も効果の小さなパターンです。
「小さな痛みを数回した後、激痛」という流れは、合計するといちばん痛みを長く強く感じてしまう。
しかも不況の段階に合わせて、少しずつ進めるコストカットは、効果も小さい。
時間もかかり、遅いです。
いい改善案が出ても、実施が遅ければ、効果も小さくなります。
もたもた始める改善は、思ったほど不況対策にはなりません。
では、不況に強くなるためにはどうするか。
不況が近づいているとわかった段階で、いきなり大きなコスト削減に踏み切ります。
初めから「改善」ではなく、いきなり「改革」から始めます。
開く会議も、会議は必要最低限に抑えます。
コスト削減の目標も、5%や10%ではなく、いきなり50%でいきます。
100万円かかるものを、50万円でできないか、という発想です。
頭のねじが1つ飛ぶくらいではいけない。
ねじが2つも3つも飛んだやり方のほうが、痛みは大きいですが、一度で済みます。
これまでのやり方を大胆に変えようという発想、それを実行しようとする行動力が出てきます。
根本的にシステムを見直す必要が出てきて、これが生き残る力になります。
大胆な決断は大きな痛みが伴いますが、痛いのは最初だけであり、一度だけです。
何度も小さな痛みを繰り返す「改善」より、一度の大きな痛みで済ませる「改革」のほうが、実は総合的な痛みが小さいのです。
1970年代後半、イギリスとフランスが共同開発した、一大国家プロジェクトがありました。
世界初の超音速ジェット旅客機「コンコルド」です。
スピードは、マッハ2.0。
つまり、音の2倍のスピードで空を飛ぶ飛行機です。
1976年就航し、通常の旅客機で8時間かかるニューヨーク・ロンドン間を、4時間で結べました。
大幅な時間の短縮です。
「死ぬまでに一度は乗ってみたい」
当時は夢の飛行機が登場したとして、多くの人が憧れました。
しかし、コンコルドにはスピードが速いために発生する難題がいくつかありました。
せっかくイギリスとフランスが巨額と時間を費やした事業です。
さらに巨額を投じて改善に取り組みますが「長い滑走路」「騒音」「高額」の3大欠点はなかなか改善できませんでした。
これらのネックに拍車をかけたのは、第2次オイルショックによる燃料価格の高騰です。
ただでさえ高額な航空券がさらに急騰し、会社の経営を傾けました。
欠点はありましたが、真剣に向き合わず、なかなか中止を踏み切れませんでした。
そんな中、最悪の事態が起こります。
墜落事故です。
コンコルドは音速で飛ぶため、ささいな衝撃が大きくなりやすい。
一時期、飛行時間あたりの事故率が最も低いため「安全旅客機」とされてきました。
しかし、2000年の墜落事故を機に、最も高い「危険旅客機」という悪評に変わってしまいました。
2003年、定期運航を終了。
コンコルドは当時の注目を大きく集めましたが、商業的には最大の失敗作の1つといわれています。
これを「コンコルド効果」と呼びます。
投資が多くなるにつれて、投資がやめられなくなる状態を指します。
その後、経営者たちには悪い手本とされています。
何でもそうですが、巨額のお金や長い時間をかけたものは「手放しにくい」という心理が出てきます。
人間ですから、投資したことを手放すときには「もったいない」という気持ちが出てきます。
時間やお金をかけたものほど、手放したくない気持ちが大きくなり、経営判断を狂わせます。
先のコンコルドの例も、早い時期に撤退していれば、経済損失を小さくできたはずです。
しかし、もったいないからいつまでも商業からの撤退の決断がなかなかできず、ずるずる引き延ばして損失が大きくなる。
ついには死者まで出してしまうという最悪のケースに至ってしまいました。
このケースから学ぶことは「もったいない」という感情との戦いです。
無駄と思ったら撤退は誰でもわかりますが、惜しむ感情が絡むと、正しい判断がしにくくなります。
「もったいない」という感情は、人間らしい美点ではありますが、不況を乗り越えるうえでは注意したい感情です。
感情を捨てて、冷静になったうえで「本当に必要なのか」と考えることです。
不況のときこそ、コンコルドの失敗例を思い出したい。
「もったいない」という感情が、経営判断を狂わせていないでしょうか。
諦める勇気こそ、最大の不況対策。
正しい撤退は、前進です。
早い時期に身を引いたほうが痛みは小さい。
撤退時期が遅ければ遅いほど、痛みも大きくなります。
無駄・不要と感じたことは「もったいない」という感情や痛みをこらえ、潔く身を引くべきなのです。
ある日、カフェでコーヒーを飲んでいると、若い女性2人が真横のテーブルに座りました。
ふと隣の人の会話が耳に入ってきました。
「久しぶりだね。元気していた。最近どうしている?」
休日、久しぶりに友人と会い、お互いの近状を伝え合っている様子でした。
聞こうと思って聞いているわけではありませんが、真横で話をされると、耳に入ります。
初めはたわいない光景と、ありきたりな会話でした。
しかし、途中からだんだん話がそれて行き始めました。
「うちの上司が無能で困っているんだ」
「社員への教育が全然なってなくて育っていない」
「うちの会社、経営状態がひどいよ」
隣で聞いていて「おいおい。この会社は大丈夫か」と思いました。
そもそも会社の外で会社のことを口にするのは、よくないことです。
外部の人に会社の内部情報を漏らしているようなものです。
外で会社のことを話すのはよくないとわかっているのでしょうが、愛社精神が低下しているので、うっかり忘れているのでしょう。
なにより、彼女が会社内部の情報を口外している時点で「社員への教育がなっていない」というのが信用できました。
彼女が会社内部の話をためらいもなく外で話すくらいですから、彼女のいう「教育が全然なっていない」は本当なのでしょう。
彼女以外にもその会社に勤めているほかの社員が、各地で会社の悪評をばらまいていると思うとぞっとします。
そういう状況が、すでに会社の危うさを物語ります。
私はその会社の経営状況はまったく知りませんが、そういう会話を耳にすると、会社の内部が見えてきます。
案外、そういう本音は、会社の中では聞けません。
会社では人間関係を重視しているため、言いたいことがあっても、言いにくい雰囲気があります。
社内では言いたいことは言えず、外に出たとき、吐き出してしまう。
会社内の状態は、社員が口にする言葉でわかるのです。
不況の時期「これはよくないだろう」という信じられないニュースを目にしました。
具体的な会社名は出せませんが、ある有名な大手自動車会社の展示場のことです。
不況のため、展示会で来客に対するコーヒーや紅茶の提供まで取りやめるというニュースでした。
さすがにそれはやりすぎです。
不況の嵐が吹く中、少しでもコストカットをしたいというのはわかります。
わかりますがいくら不況とはいえ、お客さまへのサービス低下は絶対に手を付けてはいけないところです。
ささいなところほど、お客さまは敏感に反応します。
「コーヒー1つも出せないくらい経営が危ないのか」
「客を大事にしようとする心がない」
「こんなけち臭いところから買えるか!」
コーヒー1杯のカットで、大きな損失を生んでしまいます。
お客さまに出す飲み物やサポートなどは、どんなに不況でも削ってはいけないところです。
削った瞬間にお客は、不快を示すだけでなく「この会社もい良いよ危ない。購入は控えよう」と察知して、逃げていきます。
こういうことには敏感に反応します。
不況の中、コストカットは大賛成です。
むしろしなければいけないことです。
しかし、コストカットしていいところと、してはいけないところがあります。
コストカットには、優先順位があります。
お客さまが直接触れる末端部分のサービスの部分は、絶対に削ってはいけない部分です。
最後の最後に手を付ける部分。
コストカットは、まずお客さまには見えない部分から始めるのです。
不況になれば、コストカットはどこも同じです。
そのコストカットにはしていい部分と、してはいけない部分があります。
まずは社内で使われていない部分や減らしてもいい部分などを見つけて、カットするのは正解です。
しかし、コストカットの矛先を間違えて、お客さまに触れる部分を削ってしまう企業があります。
お客さまが直接目にしたり手にしたりするサービス部分は、削りたくても削ってはいけないところです。
企業イメージが低下するからです。
では、不況を乗り越えるためにどうするか。
来客に対するサービスをやめるのではなく、むしろ増やせばいい。
強化したり、充実したり、拡大させます。
普通に考えれば、減らすところを増やすと、お客さまは驚きます。
「お客を大事にする会社だ」
「資金面で充実しているのだろう」
「なんとサービスが充実しているな。購入してからも、充実したサポートが受けられそう」
「まだまだこの会社は長くやっていきそうだ」
たとえ会社の経営が危うくても、そういう強気の姿勢を見せます。
ささいなことですが、そういうところを来客は感じ取ります。
やはりサービスが拡大、充実していると「景気がいいな」と思います。
そういう勘違いを抱かせるための作戦です。
お客さまからの購入が増えることでしょう。
サービスがいいとお客さま同士の評判が良くなり、口コミも広がりやすくなります。
社内をコストカットする一方で、お客さまが見える部分や触れる部分はいつも以上にお金をかける。
これが不況を乗り切るコツです。
事実、そのやり方で大成功を収めた企業があります。
大手ファストフード店、マクドナルドです。
2009年、100年に一度の大不況といわれる中、マクドナルドは営業時間が24時間の店舗を増やしました。
それだけではなく、無線LANサービスの拡大。
ついには、コーヒーの無料サービスを始めました。
コーヒーが無料です。
手ぶらで行って、コーヒーが飲めます。
「全然儲からないぞ。なぜだろう。でも嬉しい! すごい、すごい!」
結構インパクトがあります。
実際、来客は急増し、事実ファストフード店の中では最も売り上げを伸ばしていきました。
素晴らしい不況対策です。
お客さまが触れる部分は、どんなに不況でもコストカットどころか、お金をかけるのです。
不況になると、一般的に出無精になります。
社員はお金がないので、行動を控えたり、購入を控えたりします。
家の中にいる時間が増えたりします。
会社内でも影響し、どこか控えめで節約志向へと傾きます。
いつの間にか、考え、行動、発想が狭くなってしまう。
そういう状態になれば、余計に頭の回転も悪くなり、悪循環になります。
「今年は不況だから、社員旅行は取りやめよう」
普通はそういう流れになります。
この悪循環を抜け出すために、どうすればいいのか。
それが「海外旅行」です。
不況のときこそ、社員旅行はやめるのではなく、むしろ行きます。
それも国内旅行ではなく、海外旅行です。
海外は、通貨・文化・言葉などが全然違います。
社員は、今まで見たこともないものをたくさん見ることができることでしょう。
頭の中をリフレッシュさせる効果があり、凝り固まった頭が柔らかくなります。
新しい文化に触れ、今まで見たこともない風景を見て感動します。
視野を広げ、新しいアイデアを生み出すきっかけになります。
海外旅行をするもう1つの理由があります。
「危機感を持つため」です。
たっぷり遊んでストレス発散ができる一方、危機感を持ち始めます。
大不況の中、海外へ社員旅行をしていると、誰でも「こんなことをしている場合じゃない」と思うでしょう。
「贅沢は嬉しいが、こんなにのほほんとしていいのか」
贅沢をしながらも、どこか罪悪感を持ちます。
これがいい。
いい意味で焦りや切迫感が生まれ、危機感が生まれます。
すると、海外旅行から帰ってきてから、仕事への取り組みが良くなります。
海外旅行で得られる視野の拡大と、贅沢をした後の危機感によって、仕事の効率が良くなります。
これが不況を脱するきっかけになります。
企業は人から成り立っています。
人を生き生き活性化させることで、企業が活性化するのです。
不況のときには、会社の業績が悪くなります。
「この会社は大丈夫か」
「もっといい会社があるはずだ。辞めたい」
そう思い、どんどん社員が辞めたがろうとします。
「隣の芝生は青い」とはよく言いますが、まさにそれです。
特に不況のときは、他社のほうが業績は良さそうに見えて、一方で自社が最悪に見えてきます。
社員は自社の内部を知っていますから、自社が大変だというのがわかる。
一方でほかの会社は平静を保っているので、自社よりほかの会社のほうが安定して見えます。
もちろんそれは幻想です。
不況のときには、どの会社も火の車です。
ただ、それを努力してうまく繕い、見せていないだけです。
だから不況のときには、ほかの会社のほうがよさそうに見え、辞めていく社員が増えます。
そこで、ありきたりな光景があります。
「辞めようとする社員を社長が説得して引き止める」という光景です。
人が少なくなると、会社は余計に厳しくなるので、社長はなんとか引き止めようとするのは当然です。
実際にうまく説得し、引き止めたとします。
引き止めたとしても、やはり社員のもやもやした気持ちは変わりません。
つらいときに逃げ出そうとする社員は、無理に引き止めないほうがいい。
つらいときに尻込みをするくらいですから、会社にいても大きな生産を上げてくれません。
また「辞めたい」と言っていますから、その意思を尊重することです。
辞めたいのに辞めさせてもらえず、裁判なんて起こされると、別の意味で問題になります。
パワーハラスメントなどうるさい時代です。
ただでさえ会社が苦しいのに、社員を無理に引き止めることに時間を使うのも無駄です。
不況のときに辞めたい人は、無理に引き止めないほうがいい。
辞めたいなら、辞めさせればいい。
つらいときでも一緒に頑張っていこうという気持ちが小さい証拠。
不況のときに人の入れ替わりが激しくなります。
これは大いに歓迎すべきです。
不況のときこそ、社員の本音が見えてきます。
やる気のある人は、つらいけど頑張ろうとします。
やる気のない社員は、転職して会社から逃げようとします。
つらいときこそ頑張ろうという熱い気持ちを持った社員だけが残り、冷めた気持ちの社員はどんどん辞めていく。
不況のときには、会社の新陳代謝が活発になり、社員の質が強化される時期なのです。
業績が良かった好況のときには、クレームは無視しがちです。
多少のクレームを無視しても、景気がいいときには、やはり売れる。
調子のいい時期です。
一転して、不況のときは売れ行きが伸びにくい時期です。
消費者の節約意識は、より強くなっている状態です。
なかなか経済全体の消費が低迷している時期に、売り上げを伸ばそうと意気込みますが、空回りしやすい。
不況のときは何をやっても、売れ行きが伸びにくい。
もちろんなかには意表を突いた斬新なアイデアで、不況時に売り上げを伸ばす会社もあります。
それができる斬新なアイデアがあればいいですが、なかなかそう都合のいい話はありません。
そもそも売れ行きが伸びにくい時期ですから、企業努力も比例して反映されにくいです。
では、不況のときには何をするか。
今までお客さまから寄せられたクレームを見直しましょう。
じたばたして無駄に体力を使うくらいなら、いま一度立ち止まって、クレームの見直しです。
今まで贈られてきた山のようなクレーム一つひとつに目を通して、改善に取り組みましょう。
指摘された点は、すぐ改善する。
悪いと言われたマナーがあれば、社員教育に力を入れる。
指摘されたところは素直に受け入れます。
急ごうとするのではなく、歩むスピードを抑え、内部強化に転じます。
体力を温存しながら、企業力を強化します。
そのとき、本当にお客さまから喜ばれる点を磨けます。
不況時に売り上げを伸ばす突破口を見いだすことができるのです。
明るい父親・母親から育てられた子どもは、やはり元気になります。
子どもは、両親の顔色をうかがっているものです。
親の表情が暗いと「元気ないな」と思い、話しかけにくくなったり行動を控えたりしてしまいます。
しかし、親の表情が明るいと「元気がいいな」と思い、話しかけたり行動的になったりします。
家計が苦しくても「私の家庭は幸せでいっぱい」というそぶりを見せるのは、1つの教育です。
つらいときこそ、元気を装うプラス思考を、子どもは学びます。
元気になります。
子どもは敏感ですから、親の演技は、うすうす気づいています。
気づいていますが、前向きに生きていこうとする姿勢を、学びます。
子どものプラス思考は、こうして育っていきます。
企業内でも同じ話です。
不況のとき、いちばん元気でいなければいけないのは、社長です。
本当は、売り上げが伸びず、泣きたいところでしょう。
しかし、嘘でもいいので、元気なふりをします。
元気なふりとはいえ、やみくもに景気のいい買い物をしたり、銀座のクラブへ出かけたりする意味ではありません。
いつも歯を見せて笑い、よく動き、元気な様子を見せます。
その元気が、部下たちにも移ります。
元気には、伝染する作用があり、伝染する仕方も特徴があります。
企業内の元気は、上から下へと降りてくるようになっています。
会社の中で社長がいちばん元気になることで、部長が元気になり、課長も元気になり、部下たちも元気になります。
雪のように元気が、ぱらぱら降ってきます。
不況のときに、社長からの言葉は「今は大変な時期ですが」という暗い話ではありません。
「こんな時期だからこそ頑張りましょう」という元気を見せます。
社員は、社長が空元気だということは、うすうす気づいています。
気づいていますが、やはり元気になります。
大変な時期だけど、社長が空元気の1つでも出して乗り切ろうとする意気込みは、不思議と社員に伝わります。
「社長が頑張っているんだから、自分たちも頑張ろう」
言葉ではなく、気持ちとして伝わります。
社長が、社内で最も笑い、最も行動的になることです。
たったこれだけですが、不況対策への効果があります。
大不況のときこそ、社長はいちばん元気でいなければいけない。
大変なことですが、大事な社長業の1つなのです。
不況のときには、社員の士気が低下しがちになります。
社内の中では「不景気だ」「不況だ」「節約だ」という暗い話ばかり。
「頑張ろう、頑張ろう」と思いますが、なかなか頑張れない。
また頑張っているのに、なかなか評価されないのはもっとつらいです。
頑張っているのに無視されると「頑張っても意味ないな。どうせ給料は変わらないんだし」と思います。
頑張っている人がいれば「よし、自分も負けてはいられない」と思います。
しかし、サボりがちな人がいると「自分もちょっとサボってしまおうか」と惰性心が出てきます。
こうなると悪循環です。
ただでさえ不況は低下しがちな生産効率が、さらに低下してしまいます。
何かいいアイデアはないのでしょうか。
元気のない企業を活性化させる、いいアイデアがあります。
「頑張った人を表彰するイベント」の開催です。
1週間に一度、頑張った人を社内から1人選び、表彰します。
頑張っている人は、社員からの投票でもいいです。
上司が選んでも結構です。
とにかく、実際に頑張っている人を1人選んで表彰しましょう。
「今週、最も頑張った人を表彰します」
社員全員を起立させ、上司から直々に言い伝えます。
「今週いちばん頑張ってくれたのは水口君です。おめでとう!」
多くの人の注目を集めるので恥ずかしい一方、拍手でたたえてもらうと、やはり嬉しいです。
ポイントは「表彰理由」をきちんと説明することです。
「先日水曜日の障害対応のとき、誰より速く行動し、被害の最小限に努めてくれました。よってここに表彰します」
「上司はきちんと自分を見てくれているんだな」と実感できます。
それを知らなかった社員にも、この機会にお手柄が広まり、社内ではヒーローになれます。
周りの人からの注目を集められ、拍手がもらえると、単純に嬉しい。
人間は、認められると嬉しくなります。
「頑張ったかいがあった。嬉しい」と思い、次の週も仕事を熱心に打ち込むことでしょう。
ぜひ、おすすめです。
表彰式というイベントは、社内を活気づけます。
拍手があり、頑張った人を表彰するのは、前向きで気持ちのいいことなのです。
不況のとき、社員の士気が低下しがちです。
そのときに効くのは「表彰イベント」です。
1週間に一度、頑張った社員を選び出し、小さくていいので表彰式を開いて表彰します。
頑張った人は、社員からの投票でもいいです。
上司が選んでもいいでしょう。
表彰式というイベントで社内は明るくなるだけでなく、努力した人をきちんと認める効果があります。
「この会社は、頑張ってくれる人をきちんと認めてくれる会社だ」
社員の士気が高まり、生産効率が上がります。
この表彰するイベントでは、贈るのは表彰状だけでなく、もう1つ大事なものを贈れば、さらに効果は倍増します。
何を贈るのかというと「現金」を贈ります。
生々しく現金を、直接手渡しでOKです。
見ている社員の前でやれば、かなりインパクトのある光景です。
「お金を生々しく差し出すなんてよくない」
そう思っている場合ではありません。
人間、やはりお金がいちばん嬉しいです。
金額はいくらでもいいですが、たとえば1万円としましょう。
不況のときには、1万円でも大きいです。
頑張った人が表彰され、拍手でたたえられ、そのうえ現金1万円を手にしているところを見ると、単純にうらやましい。
「自分もお金が欲しい」
そう思い、社員のやる気が炎炎と燃えます。
社員にとって悪くない話です。
現金をもらって、嬉しくない人はいません。
不況のときにお小遣いがもらえると、得した気分になります。
経営者だけでなく、社員にとってもプラスになる話ですね。
もちろんこの表彰にはお金がかかります。
表彰式のたびに出費がありますが、考えてみれば大きな出費ではありません。
1万円で社員全員がやる気になるなら、効果としては安いものです。
社内が活気づき、社員の士気が一気に高まります。
会社側には、1万円以上の効果を上げることができることでしょう。
場合によっては、1万円ではなく2万円でも3万円でもいいでしょう。
また四半期ごとには、特別5万円へと金額を引き上げれば、より生産性は上がるはずです。
不況のときには、各種メディアでその状況が報告されます。
ニュース・新聞・雑誌などで「不況だ、不景気だ」と騒いでいますから、会社内でも当然話題に上がります。
「最近は不況らしい、不景気で何も売れない」
「不況で何をやっても無駄」
「不景気で売り上げが伸びない」
たしかにそれは事実なのでしょう。
事実だとしても、むやみに会社内でそういうことは口にしないほうがいい。
暗い言葉を繰り返しているから、気分が暗くなり、生産性が低下するからです。
ただでさえニュースで暗い話で騒いでいるのに、会社内でも「不況だ、不景気だ」と何度も繰り返すのは、意味がありません。
何度も聞きすぎると、洗脳されます。
「どうせ頑張っても無駄だろう」
「何をやってもうまくいかない時期だ」
マイナス思考になってしまいます。
行動する前から諦めがちになってしまいます。
暗い言葉ばかりを浴びていると、脳はいつの間にかマイナス思考へと傾きます。
「不況」「不景気」という言葉は禁句にすること。
マイナスの言葉は使いません。
「そんなこと言っても不況や不景気という言葉は自然に使ってしまう」
そういうときには別の表現で言い換えましょう。
「大変な時期」と言い換えればいい。
やんわりした表現になりました。
「大変な時期だけど頑張ろう」というなら、元気が出てきます。
たった一言ですが、やはり言葉には力が宿っています。
できるだけストレートなマイナス言葉を避けるようにしましょう。
夜の町、ネオン街を歩いていると、融資をする看板やチラシを見かけます。
「電話1本、審査なし」
「即日で30万までご融資いたします」
「他社で断られた方でも問題なし」
誰がみてもヤミ金であることは明白です。
明らかに怪しい。
「こんな広告に引っかかる人はいるのか」
これがいます。
引っかからないのは、今あなたがお金に困っていないからです。
借金を背負い、1円でもいいからお金を必要としている人は、この種類の広告に釣られます。
たとえヤミ金に手を出してはいけないとわかっていても、手を出しているのは、お尻に火がついているからです。
お金に余裕がないときは、冷静に考える余裕もない。
切羽詰まっているときには、自制心を失いやすい。
普段は当たり前のようにわかることでも、わからなくなってしまいます。
弱っているときには、普段騙されないような言葉にも誘惑されやすくなります。
人間は、弱っているとき、冷静な判断力を失います。
不況で会社があえいでいるときも同じです。
お金がなくて、困っているときには、判断力が著しく低下します。
不況で少しでも会社にお金があればいいと思っていると、社長の経営判断が弱くなりがちです。
「自分は今、余裕がないな」
そう感じたら無理をせず、ほかの人と一緒に話し合うことです。
会社内のほかに頼りにできる人間と話し合い、慎重になります。
これは社長に限った話ではありません。
部長でも課長でも同じです。
人間、お金がないときには、あらゆる判断力が低下します。
情緒も不安定になり、自暴自棄になりやすい。
他人の協力を仰ぐというのは重要なことです。
自殺者の原因を調べると、常に「借金」が第一位です。
それはお金がなくて余裕がなくなり、誤って死という選択をしてしまったからです。
判断力だけでなく、情緒も不安定になると、そういう判断ミスまでしてしまう。
お金がない人は、自分で考え、決めてはいけない。
どうしても冷静に考えられなくなります。
必ず頼りになる人と話し合えばいい。
弱さをさらけ出し、助けを求め、相談や助言を求めます。
複数人で知恵を出し合い決定しましょう。
「今、何をどうするべきか」
「この大変なご時世、どうすれば生き残ることができるのか」
自分一人で抱え込むのではなく、頼りになる誰かと話し合えば、取り返しのつかないミスを防ぐことができることでしょう。
意外な突破口を見いだすことができるはずです。
「お金がないとき、人間はあらゆる余裕がなくなる」
その法則を知っているだけでも、不況は乗り越えやすくなるのです。
不況がやってきたときに、大打撃を受ける会社には共通点があります。
無理な買わせ方で売り上げを伸ばした会社です。
無理な買わせ方とは、人間心理を利用して、騙せるような買わせ方のことを言います。
「期間限定」
「今だけ半額セール」
「3つ買えば、1つサービス」
「先着30名限り」
こうした心理テクニックは山ほどあります。
これまでとにかく売り上げを伸ばすためなら手段を選びませんでした。
売り上げの数字ばかりに目を向けて、あらゆる心理テクニックを巧みに利用し、消費を上げていた。
もちろんそれも売り上げを伸ばす方法の1つです。
巧みな心理テクニックを利用して売り上げを伸ばすのは、どこの店舗でもやっている手段の1つになっています。
しかし、良くありません。
本当にお客さまの立場になっていないからです。
お客さまに喜んでいただけることではなく、いかに売り上げを伸ばすかに重点を置いています。
そういう人間心理で騙すような方法で購入させた場合、購入後「役立たない。買って損した」と目が覚めてしまいます。
好況では、お客さんも経済的に余裕があるため、強引な方法でも売り上げを伸ばせるかもしれません。
「損はしたけど、まあいいか」と思う人が多い。
しかし、不況になれば一転します。
不況のときは、人々の節約意識が強くなり、会社をより慎重に選ぶようになります。
衝動買いが少なくなり、1つ購入するにも時間をかけます。
人間心理を巧みに利用して売り上げを伸ばそうとしても、慎重になった人々は、偽のサービスに騙されにくくなります。
また、万が一騙されたとすれば、お客さまは激怒します。
「客をなめるな!」
激しいクレームを突きつけます。
その結果、売り上げ重視の会社は「あそこの会社はサービスが悪い」と言って、客離れが加速します。
好況時に通用したやり方では、不況時には裏目に出ます。
そもそもお客さまを無視した売り方が、根本的に間違っています。
お客さまを無視し、売り上げ重視で経営をした会社が、不況のときにあえぐのです。
お客さまあっての経営です。
お客さまが1人もいなくなれば、当然経営は破たんです。
売り上げさえ上げればいいと考え、本当にお客さまのことについて考えているのを忘れていませんか。
不況のときには、売り上げを少しでも伸ばそうと、巧みな心理テクニックに躍起になると裏目に出ます。
大して価値のない商品を無理やり買わせても、買った後「騙された」という印象が強くなり、客離れが加速します。
心理テクニックは一時的には効果がありますが、長期で見ると、損をします。
では、不況のときは何を重視すればいいか。
売り上げの数字ではなく、お客さまを見ます。
徹底的にお客さま重視になって考えます。
「どうすればもっと喜んでもらえるだろうか」
「どうすればもっとお役に立てるだろうか」
そういうお客さまの立場に立って、本当に価値のある商品やサービスを考えます。
経営においてこれほど重要なことはありません。
利益をもたらすのは、お客さまです。
「いかに売り上げを伸ばすか」ではありません。
「いかに喜んでもらい、いかに役立てるか」です。
心理テクニックを巧みに利用するのではなく、そもそもの商品力をつけることに目を向けることです。
お客さまに喜んでもらえる商品、本当に役立つサービスなら、心理テクニックなど利用しなくても、売り上げは伸びます。
不況だからこそ利益を出したい気持ちが大きくなるところですが、逆にお客さまの視点に立ちます。
「これは役立つなあ」
「こういうサービスを待っていた」
「こういうサービスなら、買ってもいいかな」と思わせるアイデアを考えます。
利益はあとから自然とついてきます。
不況のときも関係ありません。
多くの人に喜んでもらい、役立ってもらえることをする会社は、不況のときにも傾くことはないのです。
不況で会社の調子が悪いときには、残業が多くなります。
少しでも売り上げを伸ばすために、社員が定時を過ぎても帰れない。
不況の時期には乗り越えるべき山がたくさんあります。
遅くまで残り続け、終電ぎりぎりになり、急いで会社を飛び出す。
睡眠時間は短くなり、朝は慌てて出社する。
定時を過ぎると、人間は、異様に効率が悪くなります。
深夜になるにつれて生産性も低下するため、仕事の時間が長くても、結果が出にくくなります。
問題は夜の暗さです。
外が暗いとなんだか元気が出てきません。
暗いので暗い発想しか浮かばない。
こういう悪循環になります。
不況のときこそ、会社全体のリズムを見直しましょう。
「夜遅く」ではなく「朝早く」を心がけます。
9時から出社のところは、8時に出社です。
少し眠いですが正念場です。
朝、1時間早く起きて行動するだけで、仕事の効率や回転は驚くほどよくなります。
1時間早く出社して、残業もいつもより1時間減らします。
結果として、労働時間そのものは変わりません。
しかし、朝に仕事をする時間が増えるため、仕事の質が上がります。
朝日には人を活性化させる力があります。
暗い夜に仕事をするより、少しでも明るいうちに仕事を続けるほうが、効率が上がります。
アメリカではスピード企業ほど、ブレックファストミーティングが行われています。
朝早くに朝食を食べながらミーティングを開きます。
朝日を感じて話し合うと、前向きな意見が出やすく、企業が活性化されるのです。
不況には、必ず出る言葉は「節約」と「削減」です。
カラー印刷を控えてインク代を節約したり、仕事をしない昼食時は部屋の電気を暗くしたりなど節約を心がけます。
場合によってはボーナスの縮小という話も出ることでしょう。
それだけで終わればまだいい。
次にくるのは「削減」です。
広告費の削減。
運営費の削減。
人の削減です。
いちばんつらいのは、人を切らなければいけないことです。
人を削減するときの基本は、まず希望退職者の募集です。
辞めたい意志のある人から、先に辞めてもらい、それで不況が乗り切れそうなら問題解決です。
しかし、それでもまだ人の削減が必要である場合、やむなく強行的な削減となります。
これがいちばんつらいですし悩みどころでもあります。
首を切る側も、切られる側も痛みがあります。
どの企業でも人件費に占める割合は大きく、人を削りたい気持ちは強い。
社員を1人切ったとします。
しかし、実際には、1人ではなく大勢を切ったことになります。
働いている人には、養う家族がいるからです。
1人を切るということは、その家族大勢を同時に切ることになるということです。
食べていけなくなり、貧困生活を送らなければいけなくなります。
1人だけとはいえ、事実は1人ではない。
1人を切るというのは、同時に、その背後にいる大勢の人たちに迷惑をかけることになります。
本当に人を切るのは、最後の最後の手段です。
人を切る前に、ほかの手段から考えてみましょう。
たとえば「ワークシェアリング」はどうでしょうか。
1つの仕事を、複数人で分け合う労働様式をいいます。
残業はなくし、労働時間の短縮など、仕事を多くの人でわかち合うことで、雇用を確保します。
労働時間が減り、給料は少なくなりますが、人を切るよりはましです。
そういう苦しい決断は、労働者もわかってくれることでしょう。
また、不況のときこそ「教育」に力を入れましょう。
生産性の低い人の首を切るのではなく、生産性を上げるための教育を施します。
時間はかかっても、人を大切にするということです。
「ワークシェアリング」と「教育」
人を切る前に、いま一度検討しましょう。
大不況を乗り切る突破口は「ワークシェアリング」と「教育」にあるのです。
社員との結束は、うまくいっているときにはできません。
うまくいって当たり前だからです。
仕事はあって当たり前。
契約が取れて当たり前。
右肩上がりの売り上げで当たり前。
社会経済が上向きなので、何をやってもうまくいきます。
好況のときには、仕事におけるすべての感動が小さい。
しかし、不況となるとそうはいきません。
仕事はどんどん減る。
契約もなかなか取れない。
右肩どころか、売り上げはどんどん落ちていく一方。
なかなかうまくいかない時期になり、ようやく仕事のありがたみ・喜び・嬉しさ・感動に気づきます。
健康は、あるときにはありがたみに気づきませんが、失ったとき、ようやくその重要性に気づくのと同じです。
毎日ニュースで流れる仕事を失っていく人たちを見て、思います。
「自分はまだ仕事がある。仕事があって幸せだ」
「仕事がある。仕事ができる」という当たり前の幸せに気づけます。
本来、働けるというのは最高に幸せなことです。
自分が社会で生かされ、役立っているという実感が持てるからです。
仕事を通して「生きている意味」「生きている実感」「生きる喜び」を感じ取ります。
不況は、そういう忘れていた感覚を取り戻す時期です。
「仕事が嫌い。面倒」と言っている場合ではありません。
社員同士の結束は、不況の中で育まれます。
大変な時期に、お互いに知恵を出し合い、協力し合い、努力を重ねることで、社員同士の結束が強くなれます。
つらい時期だからこそ、情も育まれやすくなります。
「青春の友は一生」と言います。
それは受験という大変な時期を一緒に戦ってきた友だからこそ、友情も育まれていきます。
不況のときに一緒に戦った同僚、またお客さまとの関係も、実は関係を太くするチャンスです。
大変な時期だからこそ、関係をより太くしやすくなる時期です。
不況は、そうした忘れかけていた何かを思い出させてくれる時期です。
不況を乗り越える前と後とでは、そうした当たり前への認識が変わっていることでしょう。