優れた上司は、仕事がいちばんできる人材と思われます。
たしかに優れた技術や豊富な知識を持ち、人生経験が豊かな人が多いです。
取引先との交渉も、やはり経験のある上司がすれば、多種多様な話に対応できて、いちばんうまく進みます。
まず、私の職場であった上司の失敗例を紹介します。
実際にあった話です。
Kさんという50代前半の男性の上司がいました。
人望のある上司ほど、挨拶が早いです。
誰より早く、挨拶をします。
漫画で描かれているような、部下から挨拶されるまで挨拶をしないような偉そうな上司は、現実にはいません。
人望のある上司になろうと、偉そうなことを言う人がいます。
偉そうなことを言えば、格好がついて上司らしくなります。
そういう偉そうなことを言って、ふんぞり返れば、部下から人望を集めることができるだろうと思っています。
人望を集める上司は、部下に夢を与えるのが上手です。
部下は夢を持ちたいと思っています。
「仕事に夢を持って自分を向上させたい」「明るい未来につなげたい」という希望があります。
部下から人望を集めるために、往々にしてしまいがちな上司の仕事は「説教」です。
それも、長々とした説教です。
部下を教育するのは、たしかに仕事の1つですが「言い方」によります。
上司は、部下に仕事をお願いすると、少なからず心配します。
仕事がきちんとできるかという不安は、どんな上司もあります。
全体を管理する上司としては、その気持ちはあって当然であり、不思議なことではありません。
上司は、知識で部下に勝とうとしてはいけません。
知識の吸収や習得は、若い新人のほうが、圧倒的に有利だからです。
上司が偉そうに知識の豊富さを自慢できるのは、最初だけです。
人望のない上司は、とりあえず部下をあらゆる会議に出席させます。
会議に出席することが、仕事だと思っているからです。
「会議に出席する」といえば、ひとまず仕事としての格好がつきます。
部下に一言、相談があるかないかは、人望に影響します。
部下に相談もなく独断で決めると「身勝手な上司」と呼ばれるでしょう。
もちろん部下に相談しても決められないことや、相談するべきではない機密事項もあるでしょう。
私は上司を務めていて「上司の仕事とはつくづくジグソーパズルだな」と痛感することがあります。
子どもが遊びでしているジグソーパズルより、さらに本格的で難易度の高い物と思えばいいでしょう。
多くの部下を持って、それぞれと接していると、だんだん部下の性格がわかってきます。
人望のある上司は、腰が低いことが特徴です。
何でも話を謙虚に受け止め、話を折りません。
仕事をお願いするときにも「お願いします」という一言を言いながら頭を下げます。
西洋には、こんなことわざがあります。
「魚を与えれば、その人は1日飢えないでいられる。魚の捕り方を教えれば、その人は一生飢えないでいられる」
上司が部下に与えるいちばんの報酬は、お金でも地位でもありません。
きれいな職場環境が重要であることは、どの職場でも共通です。
掃除が大切だと言うことは、今さら言うことでもありません。
デスク周りはもちろんのこと、社内の掃除は日課であり、仕事を効率よく進めるうえでの基本中の基本です。
人望のある上司は、部下を責めません。
どんな人間でも失敗はあります。
失敗をするのが人間であり、不思議なことではありません。
あなたは部下の話を最後まで聞いていますか。
嫌われる上司は、部下の話を最後まで聞きません。
部下の話を聞きながら、話の内容がだいたいわかれば「それね。それはね……」と部下の話を折り、自分の話を始めてしまいます。
上司が部下に指導をするとき、まずしてしまいがちなのは「部下の欠点を指摘してしまうこと」です。
悪いところがあるから、悪いところを指摘するのは、ついしてしまいがちです。
特に日本企業には、多い指導方法です。
「最悪だ!」
「何度言ったらわかるんだ!」
「この前も同じ失敗をしたじゃないか!」
本当に素晴らしい上司とは、同じことを何度でも言える上司のことです。
部下に教育をしていると、物覚えが悪い部下にあたることがあります。
そんなとき「さっき言っただろう!」「物覚えが悪いな!」と頭ごなしに叱りたくなりますが、ぐっとこらえます。
素晴らしいチームワークには、明確な役割分担が必要です。
部下と上司の役割分担は、しっかりしているほど、それぞれの仕事に専念でき、ことがスムーズに進みます。
しかし、熱心な上司ほど、つい部下の仕事に手を加えてしまいそうになることがあります。
部下は、上司のために働くものだと思っている上司は、部下から嫌われます。
そう考えている上司の態度は、自然と偉そうで横柄になります。
そうではなくて、部下のために働く上司になります。
報告・相談・連絡は、仕事の基本です。
報告・相談・連絡の略語であり、仕事を進めるうえで欠かせない基本3要素です。
上司は部下に対して「報告・相談・連絡をきちんとしなさい」とよく言います。
本来、大きな仕事の責任は、すべて上司が背負います。
上司は、仕事の窓口です。
上司を通して仕事が入ってきて、入ってきた仕事は部下に割り振られます。
人望のない上司は、自分が間違っていたとわかっても、謝りません。
自分より地位の高い人には謝りますが、地位の低い人には謝りません。
謝ることは負けることだと思い込み、プライドが許しません。
私は、子どもを見れば、親がどんな人なのかだいたいわかります。
難しいことではありません。
あなたにも、できるはずです。
「仕事を予想すること」は、上司の仕事の1つです。
特に、尊敬される上司になるために大切な条件の1つです。
仕事で部下より豊富な経験を持っている上司だからこそ、多種多様な未来を予想できます。
上司より経験の浅い新人は、意見を求めたとき、的外れな意見を言うことがあります。
いえ、仕事のできる上司からすれば、新人の意見はどれも的外ればかりでしょう。
「新人に意見を求めても、鋭い発言が出ない」
日本人は、変更が苦手な民族と言われます。
私が海外に留学しているとき、アメリカ人向けに日本人について説明された本がありました。
もちろん中身は英語です。
上司の仕事は「常に改善を考えること」です。
「問題なく終わった」ではなく「さらに効率よくできないか」と改善を考えます。
仕事が終わって「ああ良かった」と安心すれば、次に「もっと効率よくできないか」と、頭をひねってみましょう。
努力や知恵のない上司は、できない部下を切り捨てます。
初めから仕事のできる、即戦力のある部下を求めようとします。
それは簡単にできても、してはいけません。
優れた上司は、仕事がいちばんできる人材と思われます。
たしかに優れた技術や豊富な知識を持ち、人生経験が豊かな人が多いです。
取引先との交渉も、やはり経験のある上司がすれば、多種多様な話に対応できて、いちばんうまく進みます。
だからこそ、上司は上司になれました。
しかし、人望を集められるかどうかというと、もっと別の視点が必要です。
自分の仕事を成功させるために部下をこき使う上司は、いくら仕事ができても部下から嫌われます。
偉そうになるからです。
そういう職場は上司と部下との関係が悪くなり、ある日突然、部下が「やめたい」と言い始めます。
人望を集める上司になるためには、逆のことをすればいい。
「上司のために部下を働かせる」のではなく「部下のために上司が働く」のです。
事実、大きなプロジェクトほど、実質的な仕事をしているのは上司ではありません。
部下です。
大勢の部下がする仕事のおかげで、大きなプロジェクトが完成します。
上司の仕事とは、部下がする仕事を支えたり、監督したり、指揮したりすることです。
上司そのものは、直接、生産性のある仕事に関わることはありません。
その代わり、部下の仕事がやりやすくなるように、雑用を一生懸命にします。
本来、人望のある上司の仕事ほど、部下の雑用係になっています。
優秀な上司ほど、一流の雑用係です。
上司がトイレ掃除をしている職場は、必ず社内の雰囲気もいいに違いありません。
上司がする雑用のおかげで、部下は仕事に専念できるからです。
またそういう懸命に努力をしている上司を見て、部下もやる気になるでしょう。
上司が雑用をすればするほど、上司も部下も、仕事がスムーズになります。
だからこそ、仕事が速く進み、結果として大きなプロジェクトを成功させることができます。
なにより、上司と部下との関係が良くなります。
部下のために上司が積極的に動いている姿は、部下に感動を与えます。
部下も上司の期待に応えて、より一生懸命に仕事をするようになるでしょう。
お互いが助け合える関係ができれば、トラブルや困難があっても、協力して乗り越えることができるでしょう。
仕事の質だけでなく、職場の雰囲気もよくなります。
人望を集める上司のポイントは、ここです。
究極の雑用係になるのです。
まず、私の職場であった上司の失敗例を紹介します。
実際にあった話です。
Kさんという50代前半の男性の上司がいました。
Kさんは、部下とは別の部屋で仕事をする上司でした。
上司が部下と別の部屋にする理由は、さまざまです。
「自分の仕事に専念したい」
「部下からの不満を聞きたくない」
「上司らしく、仕事は個室で行いたい」
そういう理由はわかります。
たしかに上司としては、自分の仕事に専念するために、個室で仕事をする必要もあるでしょう。
しかし、そういう事情があったとしても、本当に別の部屋で仕事をする必要があるのか、あらためて考えることです。
上司であるKさんは部下とのコミュニケーションが不足していました。
部下への指示は、ほとんどメールです。
ある日、部下にメールを出して「これをしろ」と命令だけをします。
冷たい指示、無理な注文、一方的な進め方など、珍しくありませんでした。
部下との話し合いもなく「決めたから」と言って、重要な仕事の内容を独断します。
当然のことながら、部下からの不満は増えました。
「上司が見えない」
「何を考えているのかわからない」
「仕事の内容に無理がある」
数をあげれば、切りがありません。
「今日、上司は出社しているのか」という不思議な会話さえ、部下との間で交わされるようになったほどです。
多くの部下が職場に不満を持ち、やめていくことになってしまいました。
上司と部下との関係は、よくない状態でした。
その原因の1つは「上司が、部下と別々の部屋で仕事をしていたから」です。
別々の部屋になると、上司と部下の会話が少なくなります。
見えなくなると誤解が増え、冷たい職場になってしまいます。
一方、人望を集めるリーダーは、部下と一緒の部屋で仕事をします。
多少、環境が悪かったり、狭かったりしても、一緒にすることが大切です。
部下の近くで仕事をしないと、部下の顔が見えません。
体調が悪いときには、部下に「大丈夫?」という心配する言葉もかけられるでしょう。
近くにいるからこそ、部下に話しかけやすくなります。
部下の性格もわかれば、人間関係にも良い影響を与えます。
人望のある上司ほど、部下と一緒に仕事をします。
一緒に仕事をしていれば、部屋も一緒であるのが自然です。
部下のしている仕事を近くで見ているからこそ、考えるだけではわからないことがわかるのです。
人望のある上司ほど、挨拶が早いです。
誰より早く、挨拶をします。
漫画で描かれているような、部下から挨拶されるまで挨拶をしないような偉そうな上司は、現実にはいません。
現実にいたとしたら「偉そうな上司」です。
その横柄な姿勢だと、嫌われるのは時間の問題です。
現実では、先に挨拶をする上司ほど、人望を集めます。
挨拶の早い人の順に、地位が高いです。
たったこれだけですが、人間関係に及ぼす影響は大きいです。
挨拶をする側とされる側の関係を考えてみましょう。
「挨拶をする人」のほうが「いい人」になれます。
先に話しかけることで、好意を相手に伝えることができるからです。
好意がなければ自分から挨拶をしようと思わず「される側」になります。
積極的に挨拶をする上司は、部下に対して好意があることがわかります。
その気持ちは伝わり、挨拶をされた部下も「自分は好意を持たれている」と感じます。
挨拶を、言われてからするのか。
それとも、先に挨拶をするのか。
たったこれだけですが、印象はまったく異なってしまうのです。
人望のある上司になろうと、偉そうなことを言う人がいます。
偉そうなことを言えば、格好がついて上司らしくなります。
そういう偉そうなことを言って、ふんぞり返れば、部下から人望を集めることができるだろうと思っています。
それは往々にして、空回りします。
逆効果です。
人望を集めるどころか、むしろ失います。
偉そうなことを言う上司は、ただの説教オヤジになるからです。
うるさい上司は、部下から煙たがられ、むしろ嫌われます。
どんなに立派な人でも、偉そうな説教が多いと、人気を落としてしまいます。
説教で、人の心を動かすことはできません。
では、人望を集める上司は、どうしているのでしょうか。
「偉そうなことを言う」のではなく「偉い行動をしている」のです。
不言実行です。
口では偉そうなことは言わない代わりに、偉い行動を上司が体現します。
部下に心がけてほしい手本を上司が表現することは、どんな言葉より説得力があり、部下のためになります。
人望を集めるためには、上司は手本になる必要があります。
口で偉そうなことを言うのは、誰でもできますが、実際にそれができている人の言うことを聞きます。
部下は「実際にできている人」の言うことを素直に聞き、聞きたいと思います。
なにより、その姿勢は見ている人に感動を与えることでしょう。
マザーテレサが「人を愛せ」とは言わず、実際に自分が人を愛していたから、たくさんの人の人望を集めることができました。
人の心が動かされるのは、発言より、行動なのです。
人望を集める上司は、部下に夢を与えるのが上手です。
部下は夢を持ちたいと思っています。
「仕事に夢を持って自分を向上させたい」「明るい未来につなげたい」という希望があります。
仕事に夢がないと、ゴールのない人生に迷ってしまい、張りがなくなり、だらだらします。
しかし、夢さえあれば、潤いを取り戻し、貴重な一瞬を頑張れます。
プロ野球選手は、たった1つのヒットを打つために、無限とも思える大量の練習を積み重ねています。
一般人からすれば「あんなに淡々とした練習を飽きないで、なぜ毎日続けられるのか」と感心します。
プロ野球で打率の高いバッターには、そういう夢を与える監督がいます。
選手とはいえ、ロボットではありません。
淡々とした練習にくじけそうになります。
しかし、そんなとき夢を与える監督がいれば、選手は生き返ります。
「この練習をすれば、ホームランを打てるようになる」
「あとこれだけ練習をすれば、これだけヒットが打てるようになる」
「たくさんの子どもたちに夢を与えるために仕事をしているんだ」
具体的で明るい夢を与えます。
その夢に、選手は輝きを取り戻し、淡々とした練習を続けることができます。
ヒットを量産できるバッターも素晴らしいですが、そういうバッターを生み出す監督も優秀です。
これは職場でも同じです。
毎日淡々とした仕事は、ロボットではありませんから、ある日、くじけそうになります。
そんなとき、部下の未来にとってどんな意味があるのかを、きちんと提示できる上司になることです。
「この職場の仕事を生かして資格を取得しようよ。そうすれば収入も上がるだろう」
「この職場で仕事ができるようになれば、どこでも転職できる」
「子どもにとって、手本となる大人になろう」
明るい夢を与えれば、部下は「よし。頑張るぞ!」とやる気になります。
部下に夢を与えるのが、人望を集める上司です。
部下から人望を集めるために、往々にしてしまいがちな上司の仕事は「説教」です。
それも、長々とした説教です。
部下を教育するのは、たしかに仕事の1つですが「言い方」によります。
上司は部下にわかってもらいたい、理解してもらいたいと思うため、たくさんの言葉を伝えようとします。
その努力がかえって、あだとなる場合があります。
たくさん話せば話すほど、言葉の力は失われ「小言が多い人」と思われます。
人望を集めるために「一言増やす努力」より「一言減らす努力」をすることです。
もちろん完全に発言をしないわけではありません。
一言減らす分、発言する言葉は、徹底的に選びます。
冷静になり、本当に必要な言葉を、最小限で伝えます。
言葉数が少ないと「熟慮を重ねる上司」、上司としての「冷静さ」を表現できます。
冷静になって発言した言葉は、発言力も説得力も出てきます。
人望につながります。
寡黙は、人望を集めるキーワードです。
口数が少ないと、聖人にはなれません。
本当に大切なことほど、言葉では表現できません。
私は、イエス・キリストに会ったことはありませんが、彼が寡黙であったことがわかります。
寡黙であったため冷静な判断や雰囲気を漂わせることができ、多くの人望を集めることができたのでしょう。
言葉で表現できないことを、自らが体現したのです。
聖人ほど、寡黙なのです。
上司は、部下に仕事をお願いすると、少なからず心配します。
仕事がきちんとできるかという不安は、どんな上司もあります。
全体を管理する上司としては、その気持ちはあって当然であり、不思議なことではありません。
仕事が間に合わなければ、全体に影響を及ぼしてしまう重要な仕事ほど不安が大きくなり、仕事の進み具合が気になります。
しかし、その気持ちがあっても、いちいちうるさく口出しするのは控えることです。
仕事の内容を説明し、重要な指示さえすれば、後は完全に部下に任せます。
部下が完全に仕事の方向性を誤っているときを除いて、基本的に上司は部下に仕事を完全に任せ、できるだけ口出ししないことです。
この効果は、後になるほど、良い影響を与えます。
仕事を完全に任せることで、部下が責任感を持つようになります。
重要な判断のみ上司に頼り、進め具合は、すべて自分の判断・やり方・方法にすると、ストレスも小さくてやりやすいです。
たとえ失敗をしたとしても、自分の責任でした仕事ですから、素直に認め、次から改善されることでしょう。
完全に任せる効果は、仕事を完全に任せられることで、部下としては上司から信頼されていることが確認できます。
完全に仕事を任せることは、信頼されていなければ、できることではありません。
口には出して言わないが、信頼されているということがわかれば、上司に対して熱い気持ちがこみ上げます。
だからこそ、思いきって仕事を部下に任せる上司は、信頼されるのです。
上司は、知識で部下に勝とうとしてはいけません。
知識の吸収や習得は、若い新人のほうが、圧倒的に有利だからです。
上司が偉そうに知識の豊富さを自慢できるのは、最初だけです。
入社したての新人に対しては、多くの専門的な知識がある上司のほうが「教える立場」になれます。
しかし、若くて記憶力がよく、体力もある新人は、すごい早さで知識を吸収します。
私は上司として多くの部下に接してきましたが、いつもこの早さには驚かされます。
教える側になるのは最初のころだけで、会社に3年もいれば、上司より仕事に詳しい知識を持っていてもおかしくはありません。
一方、年を取っている上司は、体力も記憶力も衰えます。
悲しいかな「老いる」という人間の宿命です。
いずれ立場は逆転し、上司は部下から「教えてもらう立場」になる日がやってきます。
そうしたとき、いかに「素直になれるか」です。
知識だけの競争なら、部下には負けてしまうことを素直に認めます。
つまらないプライドは捨てて、素直に部下から教えてもらう姿勢を持ちましょう。
その代わり上司は、若い人にはない「人間性」の部分で勝負します。
生き方・考え方・マナーなど、人間性の部分で、部下を圧倒します。
それができたとき、たとえ知識は乏しい上司でも、部下からの人望を集めることができます。
部下が尊敬するのは「この人と一緒にいると成長できる」と確認できたときです。
人として成長できる人のそばにいたいと思いますし、ついていこうと思います。
「知識を磨く」より「人間性を磨く」ほうが、人望を集める上司になれるのです。
人望のない上司は、とりあえず部下をあらゆる会議に出席させます。
会議に出席することが、仕事だと思っているからです。
「会議に出席する」といえば、ひとまず仕事としての格好がつきます。
会議にたくさん出席することで、仕事をたくさんしていると思っています。
そんな考えの上司は、いい上司とは言えません。
もちろん会議の内容によっては大切な話し合いをすることがあります。
直接、見聞きすることで得られることもあるでしょう。
しかし、発言するのは、たいてい立場の高い人ばかりです。
重要な話し合いほど、部下には判断できず、立場の高い人間同士が発言します。
部下が入る余地はありません。
あるとすれば、お茶くみくらいです。
話についていくのに精いっぱいで、場合によっては話の意味すらわからない場合もあるでしょう。
ほとんどの場合、部下は会議で「聞いているだけ」のポジションになり、うつらうつら眠くなり、時間を無駄にしてしまいます。
ぼうっと横で話し合いを聞いている時間はもったいないです。
なら、デスクに戻って仕事をしたほうがいい。
出席しない代わりに、デスクで仕事をしているほうが、よほど生産的です。
出席しなかった会議は「議事録」で十分に間に合います。
重要な会議ほど、議事録を記録する係が必ずいます。
会議が終わった後、会議で話し合った内容について、議事録が回ってくるので、それで十分に内容を確かめることができます。
人望のある上司は、そもそも部下を会議に出席させません。
こうした効率の悪い状況を知っているので、初めから部下は出席させず、まずは与えられた仕事に専念してほしいと思います。
難しい判断こそ上司がして、連絡事項を部下に伝えるだけで十分に間に合います。
細かい議事の内容については、議事録を使えばいいことです。
そういう全体的な状況を考えられる上司が、人望を集めるのです。
部下に一言、相談があるかないかは、人望に影響します。
部下に相談もなく独断で決めると「身勝手な上司」と呼ばれるでしょう。
もちろん部下に相談しても決められないことや、相談するべきではない機密事項もあるでしょう。
そういう一部の重要事項は除いて、軽微な仕事なら、部下の話を聞いたうえで決めてみるのも悪くはありません。
選択肢の幅が広い仕事なら、上司の考えですべて勝手に決めるのではなく、部下の気持ちを一度うかがう姿勢がポイントです。
たとえば「○○さんは、どんな仕事が得意ですか」と尋ねてみてはいかがでしょうか。
仕事を命令するのはたしかに上司の仕事ですが、何でも上司の意向で決めてしまうのは、冷たいと感じます。
部下の性格を知り、部下のやりたい仕事を聞いて見ることで、より適切な仕事を振り分けることができることでしょう。
「私は体を動かしながらする仕事が好きですね」
「コミュニケーションの多い仕事が好きです」
「1人で淡々とする仕事が好きです」
十人十色であり、部下にもそれぞれ「得意な分野」が1つはあります。
得意な仕事を任せてもらえれば、部下の長所を生かすことができ、やる気も出てきて仕事の質もよくなるはずです。
相談をすることで部下とコミュニケーションを取り、仕事までうまくいきますから、これほど素晴らしいことはありません。
「どんな仕事が得意ですか?」という一言を、いかに言えるかが上司としての人望になるのです。
私は上司を務めていて「上司の仕事とはつくづくジグソーパズルだな」と痛感することがあります。
子どもが遊びでしているジグソーパズルより、さらに本格的で難易度の高い物と思えばいいでしょう。
多くの部下を持って、それぞれと接していると、だんだん部下の性格がわかってきます。
人それぞれ十人十色であり、部下一人ひとりの性格は異なります。
部下の仕事ぶりを見ていると、部下の性格による「得意なこと」と「苦手なこと」がだんだんわかってきます。
生まれや育ちが異なるため「得意なこと」も「苦手なこと」もそれぞれです。
まったく性格が逆の部下同士を、目の当たりにすることもあります。
「コミュニケーションが得意で、1人でする仕事は苦手な人」
「1人でする仕事が得意で、コミュニケーションが苦手な人」
しかし、こういう違いが極端にある部下を従えたほど、上司としては仕事がやりやすくなります。
それぞれの部下の個性に合った仕事を、割り振ることができるからです。
できるだけ得意な仕事を積極的に任せるようにして、苦手な仕事は任せないようにします。
まさにジグソーパズルです。
部下の得意と苦手を知り、部下の個性を生かした仕事を割り振ることができれば、最小努力による最大効果の仕事が完成します。
上司の仕事は、子どもが遊びでしているジグソーパズルと、本格的に行っているのと同じです。
昔話「桃太郎」には、桃太郎のほか、犬、サル、キジが登場します。
それぞれが異なった性格や特徴を持ち、力を合わせたからこそ、鬼が島で鬼退治に成功しました。
もし、メンバーすべてが犬ばかりだったり、キジばかりだったりすると、偏りのあるチームになります。
ばらばらの性格を持つ部下のほうが、それぞれの長所を生かし、短所を補い合うことができ、仕事は全体として、うまくいくのです。
人望のある上司は、腰が低いことが特徴です。
何でも話を謙虚に受け止め、話を折りません。
仕事をお願いするときにも「お願いします」という一言を言いながら頭を下げます。
そう言われてお願いされると、部下としては「わかりました。協力しましょう」という気持ちになります。
上司が丁寧な態度で接すると、部下まで丁寧な態度になります。
多少、難しい仕事でも、頭を下げられると仕事を受け入れやすくなり、やる気が出てきます。
そういうチームは、雰囲気が良くなります。
どんな部下にも、丁寧に接するということです。
頭を下げてお願いするというのは「個人を大切にした姿勢」です。
嫌われる上司は、地位の高い人にだけ頭を下げ、地位の低い人には横柄になります。
しかし、人望のある上司は、地位が高い人にも地位の低い人にも、頭を下げることができるのです。
西洋には、こんなことわざがあります。
「魚を与えれば、その人は1日飢えないでいられる。魚の捕り方を教えれば、その人は一生飢えないでいられる」
上司が部下に与えるいちばんの報酬は、お金でも地位でもありません。
「方法」です。
方法があれば、そこから無尽蔵の資源を発掘できます。
お金は一度使ってしまえばなくなります。
しかし、方法は、いくら使ってもなくなりません。
一生涯の武器になります。
むしろ使えば使うほど磨きがかかり、さらなる資源を発掘できる強力な技能になります。
報酬は「魚」を直接与えるより「釣る方法」を教えるほうが、部下の将来が開けます。
「方法」を身につければ、どの時代、どの職場でもうまくやっていけます。
それが本当に部下のためになります。
方法こそ、最も価値のある報酬です。
成長を感じられるとき、部下の目は輝きます。
きれいな職場環境が重要であることは、どの職場でも共通です。
掃除が大切だと言うことは、今さら言うことでもありません。
デスク周りはもちろんのこと、社内の掃除は日課であり、仕事を効率よく進めるうえでの基本中の基本です。
職場で働く部下は気持ちよくなりますし、来客があったときにも良い印象を与えることでしょう。
人望のある上司は、掃除が大切だとわかってはいますが「掃除をしろ」とは言いません。
それでは命令になり、部下の本当の気持ちを引き出せないからです。
では、部下の気持ちを引き出すために上司はどうするのでしょうか。
まず、自分のデスクを掃除するだけでいい。
上司が手本になり、掃除を始めます。
すると、不思議なことが起こり始めます。
上司がデスクを掃除しているのを見て、部下も「じゃあ、自分のデスクを掃除しよう」と始めます。
1人の行動が、全体に波及します。
上司が「やれ!」と言っても部下は重い腰を上げませんが、上司が掃除していると、部下は自分から掃除をしようとします。
子どもは親を見て育つように、部下も、上司を見て、育ちます。
上司の行動は、部下全体に影響を及ぼすのです。
人望のある上司は、部下を責めません。
どんな人間でも失敗はあります。
失敗をするのが人間であり、不思議なことではありません。
ミスを責めてしまうと、部下は身が縮み、さらに失敗しやすくなります。
部下を責めるのは、最もレベルの低い改善方法です。
では、何を責めるのが良いかというと「システム」です。
間違った部下が悪いのではなく、間違えやすいシステムが悪いと気づくことが大切です。
チェックが足りなくて失敗したなら部下を口で責めるのでなく、チェックしなければ先に進めないような方法で対策を立てます。
良い例が、チェックシートです。
その失敗は、チェックシートがあれば防げませんか。
チェックシートにチェックしないと、先に進めないようなシステムがあれば、もう間違えることはないはずです。
チェックシートにサインの項目をつくり、上司がサインをしないと、作業をしてはいけないというルールに変更します。
部下と上司の複数人によるダブルチェックができ、個人の思い込みによる間違いを防ぐこともできます。
コミュニケーションが不足なら、コミュニケーションがしやすいように席替えをする方法もいいでしょう。
疲れやすい作業なら、休憩をいつもより多めに取るシステムをつくればいいことです。
部下を責めてしまえば、その部下しか改善されません。
しかし、システムが改善されれば、チーム全体が改善されます。
そういう意味でも、責めるのは部下よりシステムなのです。
あなたは部下の話を最後まで聞いていますか。
嫌われる上司は、部下の話を最後まで聞きません。
部下の話を聞きながら、話の内容がだいたいわかれば「それね。それはね……」と部下の話を折り、自分の話を始めてしまいます。
この瞬間、話を途中で折られた部下は、精神的なストレスがたまります。
話を理解したかどうかではなく、最後まで聞いてもらえなかったことに不満を感じます。
これは、話を最後まで聞かない上司がいけません。
たしかに上司は経験が豊富であり、話を少し聞けば部下の言いたいことが理解できることでしょう。
しかし、できても、しないことです。
言いたいことが言えなくては、上司は部下の本当の気持ちが理解できず、部下も上司に反感を抱くでしょう。
お互いのコミュニケーションのすれ違いは、話を最後まで聞かないことが原因です。
まず話を、最後まで聞き切ることを心がけましょう。
部下から好かれる上司は、部下の話を最後までとことん聞きます。
部下の話を途中で折らないで、まず全部言いたいことを全部言い切ってもらってから、自分の話を話し始めます。
言い切ってすっきりした後は、不思議と上司の話も素直に聞けるようになります。
愚痴や不満を吐き出した後は、話を受け入れやすくなるのです。
上司が部下に指導をするとき、まずしてしまいがちなのは「部下の欠点を指摘してしまうこと」です。
悪いところがあるから、悪いところを指摘するのは、ついしてしまいがちです。
特に日本企業には、多い指導方法です。
悪いところがあるから、悪いところを指摘するのは、部下の自信をさらに失わせます。
「否定」から始まる話は、良くありません。
部下は、否定されると、後に続く上司の話も全部聞きづらくなり、否定する気持ちまで大きくなります。
本来、悪いところは、あえて上司が指摘しなくても部下はわかっています。
わざわざ弁慶の泣き所を叩くようなことは、できても、しないほうがいい。
では、どう部下を指導するのかというと「長所を持ち上げて指摘する」という方法です。
「時間に厳しいA君なのに、どうしたの?」
「持ち前の明るい性格で、この仕事もこなしてほしい」
「三度目の正直というじゃないか」
欧米は、こういう指導方法が当たり前です。
まず相手の長所を持ち上げて、そのうえで指導します。
この場合、話は「肯定」から始まります。
長所から話を始めると、自分を認めてもらえたことがわかるので、後に続く話も受け入れやすくなります。
「話を否定から始めるか、肯定から始めるか」の違いです。
それは「部下の欠点を指摘するか、長所を指摘するか」で決まるのです。
「最悪だ!」
「何度言ったらわかるんだ!」
「この前も同じ失敗をしたじゃないか!」
上司としては、部下をきつい言葉で叱ってしまうことがあります。
部下が何度も同じ失敗をしたり、単純なところでミスをしたりすると、感情的になり、強い言葉で怒鳴ってしまうことがあります。
上司とはいえ、やはり未熟な部分はあります。
柔らかい表現で指導できればいいですが、感情的になったときには、言いすぎてしまうこともあるでしょう。
そういうことはなければいいですが、そうはいかないのが、現実です。
「さっきは、ちょっと言いすぎたな……」
叱った後は、言いすぎてしまった自分に後悔します。
叱った上司のほうが、言いすぎた自分に後悔し、部下のことが気になっています。
「言いすぎてしまい、部下が落ち込んでいないか」
「急に会社を辞めたいと言い始めないか」
よからぬ想像さえ膨らませたまま、上司は気が気でなくなります。
そういうときには、次の言葉を部下にかけましょう。
「さっきは言いすぎた。ごめん」という気遣う言葉です。
この言葉で、上司と部下の関係は修復に向かいます。
たった一言ですが、あるかないかで、上司の印象はまったく変わります。
さっきまでは鬼のような印象だった上司が、優しい言葉をかけてくれたことで、急に好印象へと変わります。
上司としては、言いすぎた自分を認め、叱った部下に謝るのはプライドが許さないかもしれません。
しかし、できるかできないかです。
「言いすぎた。ごめん」と言える上司は、人望が集まります。
感情的になった自分を素直に認めて謝る上司に、部下は器の大きさを感じ、尊敬するのです。
本当に素晴らしい上司とは、同じことを何度でも言える上司のことです。
部下に教育をしていると、物覚えが悪い部下にあたることがあります。
そんなとき「さっき言っただろう!」「物覚えが悪いな!」と頭ごなしに叱りたくなりますが、ぐっとこらえます。
同じ指導を、部下が理解できるまで、何度でも繰り返します。
10回や20回は当たり前。
これを100回でも同じ繰り返しができるのが、人望のある上司になる条件です。
100回説明をして物覚えが悪くても、101回目を言います。
一生懸命に粘り強く説明してくれる上司に、部下は感謝と尊敬の念を抱きます。
一方で上司はこれを「自分が素晴らしい親になるために神様から与えられた試練だ」と受け止めることです。
あなたが初めての子育てに失敗しないように、今から予行練習ができます。
物覚えが悪い部下くらいで怒鳴るようでは、子育てはとうていできません。
立派な親になるための練習を、早い段階から職場でできていると思えばいい。
物覚えが悪い部下に何度でも教えられる上司は、必ず素晴らしい親になれるに違いありません。
物覚えの悪い子どもに、何度でも教える姿勢があると、素晴らしい親にもなれます。
何度でも同じ説明ができる上司は、必ず素晴らしい上司になれると同時に、素晴らしい親にもなれるのです。
素晴らしいチームワークには、明確な役割分担が必要です。
部下と上司の役割分担は、しっかりしているほど、それぞれの仕事に専念でき、ことがスムーズに進みます。
しかし、熱心な上司ほど、つい部下の仕事に手を加えてしまいそうになることがあります。
上司というくらいですから、仕事が速く手際よくこなせます。
そんな仕事のできる上司が、のろのろしている部下の仕事を見ていると、つい手を出したくなります。
それは、できてもしないことです。
上司がしゃしゃり出すぎると、前もって分けている役割分担の意味がありません。
サッカーの試合では、監督がしゃしゃり出すぎるチームは負けてしまいます。
監督は指示をしっかりすれば、後は選手に任せます。
ボールをけるのは、選手です。
監督がグラウンドに入って大きな声を出しすぎると、選手はボールより監督が気になり、プレーに集中できなくなります。
監督は、監督という仕事に専念して、必要な指示さえ出せば、選手を信じて任せます。
仕事でも同じです。
上司が仕事にしゃしゃり出すぎると、むしろ邪魔です。
部下は、仕事より上司が気になり、肝心の仕事に集中できなくなります。
仕事をするのは、部下です。
上司は、部下に指示を与え、全体を監督するのが仕事です。
この役割をしっかり分けて、自分の仕事に専念することが大切なのです。
部下は、上司のために働くものだと思っている上司は、部下から嫌われます。
そう考えている上司の態度は、自然と偉そうで横柄になります。
そうではなくて、部下のために働く上司になります。
部下は、いわば家族の一員です。
上司は親であり、部下は子どもと同じ関係です。
子育てでも、親のために子どもが働くのではありませんね。
子どものために、親が一生懸命に働きます。
子どもの成長のために親が責任を持ち、教育に力を入れ、世話をします。
同じように、部下の成長のために、上司が責任を持ち、教育に力を入れ、世話をします。
お茶くみをするのは、本来、部下の仕事ではあります。
しかし、あえて、上司がお茶くみをします。
仕事をしているのは部下ですから、少しでも仕事の役に立てるように上司がフォローをしてもいい。
お茶くみをする上司は、必ず部下から好かれます。
一生懸命に働く部下のために、奉仕をする上司は、必ず人気者になります。
部下に奉仕をさせるのではなく、部下のために奉仕をしましょう。
かっこ悪いかもしれませんが、好かれることは間違いなしです。
報告・相談・連絡は、仕事の基本です。
報告・相談・連絡の略語であり、仕事を進めるうえで欠かせない基本3要素です。
上司は部下に対して「報告・相談・連絡をきちんとしなさい」とよく言います。
当然、上司としては、きちんとした情報が回ってこないと仕事が進めにくい気持ちはわかります。
しかし、実は、そんな上司こそ報告・相談・連絡ができていなかったりします。
部下から上司へ、報告・相談・連絡をするだけではいけません。
情報が上司のところだけで集約されてしまい、循環が悪くなります。
問題なのは「一方的では仕事のバランスが悪くなる」ということです。
部下にも、仕事の内容について知らないとモチベーションが上がりませんし、状態が把握できなくなります。
場合によっては、失敗を招くこともあるでしょう。
上司こそ、部下に対して報告・相談・連絡をすることが大切です。
お互いが情報を報告し合い、相談し合い、連絡し合うというのが、最も理想的な状態です。
あなたの職場ではいかがでしょうか。
一方的な報告・相談・連絡になっていませんか。
本来、大きな仕事の責任は、すべて上司が背負います。
上司は、仕事の窓口です。
上司を通して仕事が入ってきて、入ってきた仕事は部下に割り振られます。
チームの代表である上司は、家族の親にあたります。
万が一、部下が失敗すれば、部下の責任ではなく上司の責任です。
子どもの失敗は、親の育て方や教育に問題があるように、部下の失敗は、上司の育て方や教育に問題があります。
間違いは部下にあっても、責任は上司にあるということです。
もちろん失敗をした部下にも欠点はありますが、その部下だけを責めるのではいけません。
まず部下の失敗は、上司が全責任を持つことです。
「運命共同体の代表」という意識を持つことです。
家族は、誰か1人が欠けてもいけません。
子どもの存在は親に影響しますし、親の存在も子どもに影響します。
みんなで力を合わせて、助け合って生きていきます。
その中でも、親が代表であり、最も責任が大きい立場です。
上司と部下も、ポジションこそ違いはあっても、運命共同体です。
部下の失敗は上司に影響しますし、上司の失敗も部下に影響します。
助け合うという気持ちがなければ、チームという大きな単位は成り立たなくなるのです。
人望のない上司は、自分が間違っていたとわかっても、謝りません。
自分より地位の高い人には謝りますが、地位の低い人には謝りません。
謝ることは負けることだと思い込み、プライドが許しません。
「部下に対して頭を下げると、上司として格好がつかない」と思い、絶対に頭を下げません。
それは逆です。
謝らないから上司として格好がつきません。
だから部下に嫌われます。
間違いだとわかっているのに謝れない上司を見て「この人は物分かりが悪い。結局、この程度の器なのか」と失望します。
その瞬間、人望も消えます。
まず人望のある上司になるために「ごめんなさい」が素直に言える上司になることです。
以前、私の職場に「ごめんなさい」が口癖の上司がいました。
「ごめん」でも「すまない」という言葉を略した軽い謝罪でもありません。
「ごめんなさい」としたきちんとした謝罪です。
自分が間違っていたとわかったときには、たとえ部下に対してでも、すぐ過ちを認めて頭を下げて謝ります。
立場の高い上司なのに、言葉遣いが謙虚で印象的でした。
謙虚があったから、部下の人望を集めました。
上司とは言え人間ですから、間違いや勘違いをすることはあります。
わかったときは、素直に過ちを認め、すぐ謝ることです。
人望のある上司ほど、間違ったときにはすぐ謝ります。
このすぐ改める態度こそ、尊敬される上司の条件であり、部下は「さすが!」と感心します。
「ごめんなさい」が素直に言える人は、素晴らしい上司になれる素質があるのです。
私は、子どもを見れば、親がどんな人なのかだいたいわかります。
難しいことではありません。
あなたにも、できるはずです。
いつも笑顔でやんちゃな子どもは、親も明るい表情で接しているに違いありません。
いつも笑顔でやんちゃなことを許容する親であり、その親の思想・考え・態度は、見事に子どもへと伝わります。
逆に、いつも硬い表情の子どもは、親も硬い表情をしているに違いありません。
教育に厳しい親で、笑顔でやんちゃなことを許容せず、間違いや失敗をしたときには激怒する親なのでしょう。
子どもは少なからず、親の顔色をうかがっています。
親が考えていることは表情として表れ、表れた親の表情を見て、子どももどんな表情をしていいのか真似をします。
子どもの表情を見れば、親がどんな表情で、どんなことを考えて、どんな教育をしているのか、おおよそ見当がついてしまいます。
親の表情は、完全に子どもにも移ります。
この法則は、見事に一致します。
それは職場のチームでも同じです。
上司の表情は、恐ろしいほど部下に移ります。
部下に対して厳しい上司は、そういうことを考えているので、いつも険しい顔をしています。
暗い表情をしているので、部下はいつも「上司から叱られるのではないか」とびくびく怯え、部下の表情も硬くなります。
上司に悲しくも勇ましい様子が漂っていてはいけません。
部下の表情まで悪くなり、チーム全体に漂う雰囲気が悪くなるからです。
やはり、ぱっと明るい笑顔になることです。
間違いや失敗があっても、笑い飛ばすくらいのおおらかな気持ちを持つことです。
上司の表情が良くなれば、必ず部下の表情もよくなり、チーム全体の雰囲気が良くなります。
そういう上司のもとで育っているので、部下も伸び伸びと仕事ができます。
部下に「明るくなれ」という前に、上司こそ、明るくなることが大切なのです。
「仕事を予想すること」は、上司の仕事の1つです。
特に、尊敬される上司になるために大切な条件の1つです。
仕事で部下より豊富な経験を持っている上司だからこそ、多種多様な未来を予想できます。
経験の乏しい部下には思いもつかないような事態・失敗・流れなどを予想できるのが、上司の強みです。
その能力は最大限に発揮して、失敗を未然に防ぐことに向けてください。
部下が仕事を進めていくうえで、これから起こるであろう出来事を予想します。
上司は、積極的に思いついた予想を周囲に伝えます。
部下にも、予想した未来を惜しみなく伝えましょう。
経験の深い上司の先見力に、部下は驚くはずです。
「以前にこういうことがあった」
「こうなれば、こういうことが起こりうる」
「私の経験ではこうなる可能性が高い」
もちろん完全に決め付けた意見を、部下に押し付けるのでは良くありません。
あくまで、上司が予想した未来を伝え、部下が参考にすることで、仕事での失敗を予防できます。
部下も失敗が少なくなり、感謝される上司になれるのです。
上司より経験の浅い新人は、意見を求めたとき、的外れな意見を言うことがあります。
いえ、仕事のできる上司からすれば、新人の意見はどれも的外ればかりでしょう。
「新人に意見を求めても、鋭い発言が出ない」
そう、ため息をついていませんか。
大切なことに気づきましょう。
的外れだからこそ、よく聞く必要があります。
まだ会社・組織・職場に慣れ親しんでいない新人だからこそ、新鮮な発想ができます。
上司は長い間、1つの会社にいますから、その職場の文化や環境に慣れてしまい、考え方や発想も決まりきったものになりがちです。
おかしな話ですが、案外、上司の意見のほうが独創性に乏しいです。
しかし、新人は違います。
入社したばかりの会社の文化に慣れていない新人だからこそ、貴重な考え・見方・発想ができるはずです。
上司は、その初々しい新人の発想を、ぜひ参考にしましょう。
経験者が忘れかけていた仕事のヒントが、きっと見つかることでしょう。
日本人は、変更が苦手な民族と言われます。
私が海外に留学しているとき、アメリカ人向けに日本人について説明された本がありました。
もちろん中身は英語です。
その説明の中に「日本人はせっかちである。急な変更にも弱い」と書かれた記述がありました。
思わず、どきっとした内容でした。
たしかに日本人はせっかちで、予定の変更があると気を悪くします。
せっかちな性格のため、変更があるとやり直しをしなければならず、すぐいらいらしてしまいます。
それは、会社の中でも同じです。
時間厳守は当たり前であり、予定の変更も、できるだけないようにします。
もちろんそうした心がけは良いことです。
日本の文化として、世界に誇るべき長所です。
しかし、その考えが強く行きすぎて、いらいらしやすい性格になっていないか注意したいところです。
上司は、遅刻と変更に強くなることです。
多くの部下を持つ上司は、部下の遅刻、クライアントの仕事変更を、たびたび経験します。
変更したスケジュールが変更になり、また変更になり、さらに変更になるということもあるでしょう。
そのたびにいらいらしては、上司の精神が不安定になります。
心を大にして「人間だから遅刻もするよね」とおおらかに構えます。
部下が遅刻したくらいで、地球が滅びるわけでもありません。
クライアントの仕事が変更になったくらいで、人生が終わるわけでもありません。
「大丈夫」と大きく構えることです。
スケジュールの変更があっても「予定の変更はあって当たり前」と思うくらいがいいでしょう。
そういう心のスケールの大きな上司になることが大切なのです。
上司の仕事は「常に改善を考えること」です。
「問題なく終わった」ではなく「さらに効率よくできないか」と改善を考えます。
仕事が終わって「ああ良かった」と安心すれば、次に「もっと効率よくできないか」と、頭をひねってみましょう。
「現状維持」ではなく、さらに効率よく、さらなる質を求めて、試行錯誤を繰り返します。
「仕事の手間を半分にする方法はないか」
「そもそも仕事をなくすことはできないか」
「2つの仕事をうまく合わせて、一石二鳥ができないか」
上司であるあなたは、こうしたことを考えていますか。
現状維持は、誰にでもできます。
現状維持で満足するだけでは、平々凡々の上司です。
ほかの人が考えない一歩進んだことを考えるのが、尊敬される上司の条件なのです。
努力や知恵のない上司は、できない部下を切り捨てます。
初めから仕事のできる、即戦力のある部下を求めようとします。
それは簡単にできても、してはいけません。
そういう考えは、上司の態度に如実に表れます。
できる部下はよく褒めますが、できない部下は感情的に怒ってしまいます。
できない部下の首をすぐ切る上司は、独裁制君主と見なされます。
そういう上司は、部下から尊敬されなくなります。
独裁制君主を行ったドイツのヒトラーやイタリアのムッソリーニのように、権力を振るった例は人がついてこず、長続きしません。
人を人と見なさない独裁は、人望を失い、必ず崩壊します。
一流の上司は、初めからできる部下を探しません。
そうではなく、できない部下を磨いて、ダイヤモンドにしようとします。
部下はすべて、ダイヤモンドの原石です。
磨けば、必ず輝きます。
輝いていないから捨てるのではなく、磨けばいい。
いかに磨いて、ダイヤモンドに変えるかが、上司の実力を発揮する瞬間なのです。