犬と一言で言っても、その種類は実にさまざまです。
非公認の種類を含めると、全世界で1,000種以上あるといわれています。
犬は、猫に比べて大変種類が多い動物です。
「さて、そろそろ犬に餌をやる時間だ」
食事の時間になり、ドッグフードを食器に入れて、犬に与えます。
いつもなら、しっぽを振りながら近づき、与えるやいなや食べ始めるというのに、今日に限ってなぜか口にしてくれない。
犬を飼う場所が室内であれ屋外であろうと、不思議な行動を目にすることがあります。
同じ動きを何度も繰り返す行動です。
たとえば、次のような光景に心当たりはありませんか。
犬がお昼寝をしているスタイルといえば、スフィンクス像のようなスタイルです。
人間のようにあおむけになって寝るのではなく、行儀よく座っているような状態で寝ています。
中には行儀の悪い姿勢のスフィンクススタイルで寝ている犬もいるようです。
「ガチャ」
玄関の扉を開けると、そこにはすでにしっぽを振っている犬が立って出迎えてくれた。
そんな経験はありませんか。
室内で、犬と一緒に生活をしていると、なにやら感じることがあります。
犬からの熱い視線です。
たとえば、テレビを見ていると、犬からの視線を感じたので振り向くと、すぐ視線を外される。
ある日、犬が急に足を引きずって歩き始めた。
「どうしたんだろう。足をけがしたのかな」
そう思って足を見ても、けがどころか、傷すらない。
ソファーに座ってテレビを見ていると「一緒に見たいよ」といわんばかりに犬が近づいてくることがあります。
犬もソファーの上に乗り、飼い主にもたれ掛かってきたり、膝の上に乗ってきたりすることがあります。
一見すれば、飼い主に甘えているのかなと思います。
犬を飼っているときに、自分の足をなめる行動を見たことがありませんか。
単に毛繕いやかゆみのため、ときどきなめることもあるでしょう。
しかし、1日中ずっとなめ続けていると「どうしたんだろう」と思い、気になり始めます。
夫婦で犬を飼っていると、子宝に恵まれることがあります。
赤ちゃんの誕生です。
家族が1人増え、よりにぎやかになりますね。
犬は、穴を掘って、餌の一部を埋める習性があります。
屋外で飼ったことがある人なら目にしたことがあると思います。
私が実家で飼っていた犬も、餌を与えて最初は食べますが、しばらくすると穴を掘って埋めようとする光景を何度も見ました。
犬が意味もなく、無駄に吠えることを「無駄吠え」と言います。
宅配の人がやってきたときに無駄に吠えたり、何もないのに突然吠え始めたりなどです。
飼い主としては「静かにしなさい」「ダメ」と言って静かにさせようとすることでしょう。
留守番に慣れていない犬を、いきなり長時間留守番させると、たいてい大変なことになります。
無駄吠えをしたり、部屋中におしっこを撒き散らしたり、花瓶を倒したり、ソファーや柱をかじったりなどめちゃくちゃにします。
泥棒に入られたのではないかと見間違えるほど、ひどく荒らされることでしょう。
私の実家周りでは、よく野良犬がうろうろしているのを見かけます。
小学生のころ、学校からの帰り道、まれに野良犬と遭遇することもありました。
団体の場合なら、たいてい犬のほうが逃げていきますが、私が1人で帰っているときにまれに野良犬と会うこともありました。
犬の社会といえば、リーダーを頂点とする「ピラミッド型」が有名です。
すでにご存じの方も多いことでしょう。
わかりやすいイメージとしては、ピラミッドの頂点に社長がいて、下にいくにつれ、部長、課長、係長、社員という感じです。
犬同士がじゃれているのと、本気でけんかをしているのは、見た目はそっくりです。
うなり声を出して飛びかかり、噛みつこうとします。
私も小学生のころは、何匹もの犬を同時に飼っていたことがあります。
「お兄ちゃん、ちょっと来て! 大変!」
ある朝、外にいる妹から突然大声で呼ばれました。
何があったのかと思って向かってみると、たしかに驚くべき光景がありました。
私が子犬たちとじゃれ合って遊んでいたときのことです。
突然、子犬にがぶり!
いきなり強い力で噛まれました。
犬を室内で飼っていると、必ずあさられる場所があります。
ごみ箱です。
燃えるごみや燃えないごみに問わず、ごみ箱の中に顔を突っ込んで興味津々になってあさり始めます。
ある日の夕方のことです。
私は銭湯に行くため、細い路地裏を歩いていたときのことです。
路地の曲がり角から大きなゴールデン・レトリバーが現れ、勢いよく走ってこっちに近づいてきました。
本来、犬は「笑う」という表情をつくることはできません。
「寂しさ」「怒り」などの表情はありますが、面白くて笑う笑顔をつくることは本来できないはずです。
笑った笑顔をつくるのは高度であり、できるのは人間くらいです。
多くの飼育書を読んでいると、矛盾が書かれている場合があります。
「犬は集団生活をするため飼い主のそばのほうが安心する」と書かれている一方で「犬と一緒に寝てはいけない」矛盾です。
飼い主のそばがいいなら、寝るときも一緒のほうがいいのではないかと思います。
私の実家で飼っている雑種犬は、ときどき夜中に不思議な行動をします。
突然、遠吠えを始めます。
「わんわん」という吠え方ではなく「わおーん」という伸ばした吠え方です。
犬と戯れていると、急に犬がひっくり返ってあおむけになり、おなかを見せてくることはありませんか。
初めてみたときは、何をやっているのかと思います。
これは「参りました」という「完全な服従」を意味しています。
あらためて考えると、不思議なことがあります。
なぜ犬は泳ぐのがうまいのでしょうか。
人間の場合、最初から上手に泳げる人はいません。
「おや。今日は犬のおしっこの色が変だぞ」
もしこうした疑問を持ったら、まずあなたが素晴らしい。
本来、糞をまじまじ見ることは良くありません。
犬の健康には「タンパク質」と「カルシウム」が欠かせません。
牛乳には、このタンパク質もカルシウムも豊富に含まれています。
健康に良いと思い、水の代わりとして与えている家庭も多くあると思います。
「おいでおいで」
室内で飼っている犬を、リードでつなごうと思い、呼ぶことがあります。
一応、振り向きはしますが、その後は無視。
初対面の犬同士が出会うやいなや、いきなりお互いのお尻を嗅ぎ合う光景があります。
肛門周りといえば、糞がついて衛生的ではありません。
「なぜいきなりそんな汚いところを? まさか、糞のにおいが好きなの?」
日本のことわざに「犬も歩けば棒に当たる」という言葉があります。
犬も散歩をしていれば、たまには電柱などに頭をぶつけることから、物事を行う者は、時に災いに遭うという意味で使われます。
犬が電柱や壁に頭をぶつけるなんて、ほほ笑ましい光景ですね。
犬と一言で言っても、その種類は実にさまざまです。
非公認の種類を含めると、全世界で1,000種以上あるといわれています。
犬は、猫に比べて大変種類が多い動物です。
そもそも犬も猫も、約5500万年前にミアキスという動物が共通の祖先です。
共通の祖先であるにもかかわらず、なぜ犬は猫に比べて種類が多いのでしょうか。
その理由は、人との関わり方にあるようです。
犬は猫に比べ、大変古い時期から人との付き合いが始まりました。
人との生活に密着するにつれて、人の目的に応じて犬の品種改良が行われていきました。
たとえば、体が大きく力が強い犬と言えば「ドーベルマン」です。
重い荷物を引っ張るための作業犬として育てられたため、体が大きく、筋肉が発達している犬種として改良されました。
足の短い犬といえば「ダックスフント」です。
なぜ足が短いのかというと、穴の中に住むキツネやアナグマなど、小型の動物を捕まえるための猟犬として育てられたためです。
小さくてもよく吠えて、穴掘りが大好きな犬と言えば「テリア系の犬」です。
ほかの犬に比べて、特にテリア系の犬は、ささいなことで吠えますし、頻繁に穴を掘りたがります。
ネズミ、ウサギなどが潜んでいる地面の穴を広げるために土を掘り、吠えることで驚かせて穴から追い出す仕事をしていたためです。
その名残があるため、ほかの犬に比べてよく吠えますし、よく穴掘りをしたがります。
ちなみに「テリア」の語源である「terra」は、ラテン語で「大地」を意味します。
大地をよく掘るので「テリア」という名前が付けられました。
平面の顔が特徴の犬といえば「ブルドッグ」です。
なぜ、顔が平面なのかというと、平面の顔のほうが象やシカなど大きな動物に噛みつきながら呼吸ができるためです。
小さい体でも、噛みつきながら呼吸ができるので、獲物を仕留めやすくなります。
小さくてふわふわした体毛が特徴といえば「パピヨン」や「シー・ズー」です。
小さかったり、ふわふわだったりしているほうが、人にとって手触りがよく親しまれやすいため改良されました。
人を癒やしたり元気づけたりするのが目的として改良された愛玩犬です。
人が犬に求める目的が多様化した結果、作業犬・猟犬・愛玩犬など、犬の種類も多様化していきました。
犬が多様化した本当の原因は、私たち人間です。
犬を飼うときには「おとなしいほうがいい」「かわいいほうがいい」「毛が少ないほうがいい」という希望があることでしょう。
しかし「小さいほうがおとなしいだろう」という先入観で犬を飼い始めると、小さくてもよく吠えて困ることもあります。
特にポメラニアンは、小柄でも、驚くほどよく吠えます。
こうした犬のルーツを探り、あらかじめ犬の特徴を参考にすれば、生活にあった犬が見つかりやすくなるでしょう。
「さて、そろそろ犬に餌をやる時間だ」
食事の時間になり、ドッグフードを食器に入れて、犬に与えます。
いつもなら、しっぽを振りながら近づき、与えるやいなや食べ始めるというのに、今日に限ってなぜか口にしてくれない。
こういうときにまず考えられるのは「体調の異変」です。
しかし、様子を見るかぎり、特に問題なさそう。
散歩の距離も足取りも普通。
見た目も行動もいつもと変わりないのに、与えた餌だけ食べてくれないとすれば、1つ考えていただきたい可能性があります。
もしかして、ここ数日間、特別に豪華な餌を与えませんでしたか。
たとえば、お歳暮で余った豪華な肉を犬に与えたり、ご近所さんからもらったケーキを犬にも分けてやったりなどです。
いつもドッグフードなのに、ときどきこんな豪華な餌が登場すると、犬はもちろん大喜びです。
嬉しいのは嬉しいですが、やはり犬は「なぜ急に」と思います。
飼い主は「お歳暮の余り物だから」「ご近所さんからのおすそ分け」という理由で納得していますが、犬にはわかりません。
賢い犬は「何かをしたことがきっかけで豪華な餌が出てきたのかな」と思い始めます。
飼い主を試す手段として、与えられたドッグフードを食べるのを拒否するという行動に出ます。
「今日の餌を食べないで我慢したら、また豪華な餌が出てくるかな」という期待を抱いて、飼い主を試しています。
飼い主は、突然餌を食べなくなった犬に困惑するでしょう。
犬にはこうした行動パターンがあることをあらかじめ知っておくと、いざというとき慌てることがなくなります。
こういうとき、どういう対処をすればいいのでしょうか。
特別なことは不要です。
どうしても餌を食べなければ、一度、器を下げてください。
「食べようと思っていた餌がなくなった!」
犬はショックを受け、その後は与えられた食事を素直に食べてくれるようになるはずです。
犬を飼う場所が室内であれ屋外であろうと、不思議な行動を目にすることがあります。
同じ動きを何度も繰り返す行動です。
たとえば、次のような光景に心当たりはありませんか。
ごみ箱の周りをくるくる回る。
柱の前を行ったり来たりする。
自分のしっぽを追いかけて、くるくる回る。
同じ場所で円を描きながら、ひたすら歩き続ける。
何か虫でも飛んでいて気になって追いかけているのかと思いますが、特に何も飛んでいる様子はない。
なぜそんなことをしているのかと思います。
もし、こうした同じ動きを繰り返す様子が見られれば、おそらく犬がストレスを感じているサインです。
精神的なストレスをなんとか吐き出したいと思い、体をじっとしていられません。
精神的なストレスとはいえ、不安かもしれませんし、緊張かもしれませんし、焦りかもしれません。
犬は、精神的なストレスを抱え、心の葛藤を紛らすために体を動かし、いら立つ気分を忘れようとしているのでしょう。
人間の場合でも、ストレスを感じたときは、貧乏ゆすりを始めたり、ペン回しを始めたりしますが、それに近い状態です。
いらいらしたり不安になったり焦ったりするときには、体がうずく衝動に駆られます。
犬も同じように同じパターンの動きを繰り返しているようなら、同様にストレスを感じ始めている証拠です。
また見落としやすいのは、暇すぎる状態です。
暇すぎてもストレスになります。
ストレスを発散させる機会がないため、仕方なく意味のない行動をして気持ちをなだめていることも考えられます。
どのようなストレスかは、その犬の状況によります。
一概には言えません。
飼い主が散歩を忘れがちになっているのかもしれません。
遊び相手になってくれていないのかもしれません。
食事の量が少ないのかもしれません。
汚い部屋にストレスを感じているのかもしれません。
もし犬が同じ行動パターンを始めれば、いま一度、生活を振り返ってみましょう。
まず何がストレスになっているのかを見つけます。
見つかれば、そのストレス源をなくすか、小さくさせるなどしましょう。
もちろん犬のストレスを完全に解消させるのは難しいでしょう。
しかし、可能なかぎり小さくさせることなら、できるはずです。
犬がお昼寝をしているスタイルといえば、スフィンクス像のようなスタイルです。
人間のようにあおむけになって寝るのではなく、行儀よく座っているような状態で寝ています。
中には行儀の悪い姿勢のスフィンクススタイルで寝ている犬もいるようです。
ただよく見てみましょう。
必ず顎を地面につけて寝ていませんか。
犬が寝るときといえば、必ずと言っていいほど、顎を地面につけて寝るスタイルのはずです。
いつも顎をつけていると「顎の調子でも悪いのかな」と心配になりますが、そうではありません。
なぜ犬はいつも顎を地面につけて寝ているのでしょうか。
それは、骨伝導によって睡眠中の気配に気づきやすくなるためです。
顎を地面につけることで、地面の震動が顎の骨を伝わり、気づきやすくなります。
犬がまだ野生時代だったころ、睡眠中とはいえ、いつ外敵が襲ってくるか気が抜けませんでした。
そのため、睡眠中は顎を地面につけ、いざ何者かが近づいたときに、すぐ気づけるよう工夫していました。
睡眠中とはいえ、警戒を怠らない犬の知恵です。
そのときの名残が現在でも残っており、睡眠中は顎をつけて寝るスタイルがよく見られます。
ただしこのスタイルも、人との生活が慣れて安心し切ってしまえば、やめてしまう犬も多いようです。
それどころか人のようにあおむけになって寝ている犬さえもいます。
環境によって、犬の寝姿も大きく変わるようです。
「ガチャ」
玄関の扉を開けると、そこにはすでにしっぽを振っている犬が立って出迎えてくれた。
そんな経験はありませんか。
ドアを開けた音で飼い主が家に帰ってきたことに気づき、部屋の奥からやってくるならわかります。
「ただいま」と声を出したり、扉を開ける音を聞き取ったりして、帰ってきたことがわかるからです。
しかし、まだ「ただいま」とも言っていないし、玄関の扉を開けた時点ですでに待ち構えられると、嬉しいけれど少し不気味です。
「なぜ今、帰ってくることをわかっていたのか」
犬には透視能力があり、壁の向こうまで透けて見えているかのようです。
もしくは何かGPS機能のようなものがついていて、飼い主の現在地を把握しているかのようです。
なぜ扉を開ける前に、すでに待ち構えられるのか。
もちろん犬の鋭い聴覚のおかげです。
聴力は、人間の5倍から7倍もあります。
家の前をたくさんの人や車が往来しているにぎやかな場所でも、犬はその音の中から自分に関係した音を聞き分けることができます。
たとえ、家の前を多くの人が歩いている環境でも、飼い主の歩き方の癖やテンポなどから、聞きたい足音を聞き分けられます。
飼い主が遠くから歩いてきている時点で気づき、扉を開けるときには待ち構えることができる偉業を成し遂げられます。
なにより大切なことは、そういう経験があれば飼い主は大喜びしてもいいということです。
飼い主の足音が聞き分けられるくらい、飼い主のことを熟知している証拠です。
わざわざ玄関で待ち構えてくれるのも、飼い主に1秒でも早く会いたい気持ちの表れです。
飼い主と犬との関係が良好である証拠なのです。
室内で、犬と一緒に生活をしていると、なにやら感じることがあります。
犬からの熱い視線です。
たとえば、テレビを見ていると、犬からの視線を感じたので振り向くと、すぐ視線を外される。
「気のせいかな」
そう思って、またテレビに顔を戻してしばらく経つと、また犬からの視線を感じ始める。
犬のほうを振り向くと、犬はまたすぐ視線を外す。
飼い主が見ようとしないときは見るくせに、飼い主が犬を見ようとするときには、犬は視線を外す。
こればかりではありません。
大好きなペットと見つめ合おうとすると、なぜか顔をそらされてしまう。
そんなやりとりをしたことがあるのではないでしょうか。
人間同士が見つめるときといえば、お互いが好印象を抱いているときです。
友人同士や恋人同士などが見つめる光景をよく見かけることでしょう。
では、飼い主と犬の場合も同じかというと、そうではありません。
むしろ逆です。
視線を外される場合がほとんどです。
飼い主と犬との理想的な関係は「同等の関係」ではなく「上下関係」があることです。
飼い主が主人であり、犬が従者という「主従関係」がしっかりしていることです。
その主従関係がしっかりしているからこそ、飼い主の言うことを聞きますし、しつけもできます。
主従関係がはっきりしている場合、犬から視線を外されるのは当たり前です。
たとえば、あなたが小学生のころ、担任の先生からじっと見つめられたときを思い出しましょう。
先生のほうが立場は上で、生徒のほうが下になります。
権威のある担任の先生からじっと見られると、気まずさから、つい視線を外してしまったことがあるでしょう。
会話中に見つめるくらいならいいですが、立場の高い人からじっと見られると、気まずさを感じて視線をそらしてしまうはずです。
これと同じ状態が、飼い主と犬との関係です。
飼い主が犬をじっと見つめようとするときに、視線を外されるのは、そういう主従関係からくる威厳の強さが原因です。
決して飼い主のことを嫌っているわけではありません。
飼い主と犬との健全な主従関係が構築されている証拠です。
このことを知っていると知らないのとでは、大違いです。
心配しなければいけないのは、逆のパターンです。
もし、飼い主と犬とがずっと見つめ合っていれば、犬は飼い主に対して優位を感じている可能性があります。
飼い主と犬との主従関係が逆転になっている可能性も考えられます。
お互いが見つめ合うというのは理想的のように感じますが、実は見つめられないほうがちょうどいいのです。
ある日、犬が急に足を引きずって歩き始めた。
「どうしたんだろう。足をけがしたのかな」
そう思って足を見ても、けがどころか、傷すらない。
しかし、素人判断はできません。
「もしかしたら、足の骨や関節に何か問題があるのではないか」
表面的には見えないだけで、足の内部で何か事情を抱えていることも考えられます。
大切にしている犬が足を引きずっていれば、やはり何か問題があるのだろうと思い、動物病院へ連れて行くことでしょう。
その診断の結果は「特に異常なし」。
先生に問題がないと言われて、病院からまた出ると、やはり足を引きずり始める。
もしこうした状況を経験すれば、仮病を演じている可能性があります。
驚くべきことに犬も仮病をします。
そのくらい賢いです。
犬が仮病をし始めるきっかけは、たいてい決まっています。
仮病を始める少し前に、本当に犬がけがをした経験はありませんか。
そのとき、飼い主がすごく親身に面倒を見てくれたので、その快感を知ってしまいました。
普段、飼い主は忙しくてあまり相手にしてくれないが、病気のときだけは飼い主からの注目を集められることを知りました。
「体調が悪そうにすれば、飼い主が振り向いてくれる。相手にしてくれる」
そう思って、犬は寂しいときや飼い主からの注目を求めたいときに、体に異常がないにもかかわらず、わざと悪いふりをします。
犬の賢さに驚きますね。
こんなときの対策として、数多くの飼育書には「無視をするのがいちばん」と書かれています。
もちろん本当に病気ではないですから、無視をするのが最もの対策であるように思えます。
しかし、これは本当の問題解決にはなりません。
たしかに無視をし続けていれば、そのうち仮病を諦めますが、本当の対処になっていません。
「なぜ犬が仮病をし始めるのか」
この原因を解決しないかぎりは、仮病の解消にはなりません。
では、なぜ仮病を始めたのか。
やはり、多くの場合、飼い主があまり犬の面倒を見てあげられていないことが原因ではないでしょうか。
飼い主が触れ合う時間を省いたり、スキンシップを怠ったりしているから、犬は寂しがって特別な行為をしようとします。
犬に寂しい思いをさせていることが多いと、犬も非常識な手段をとろうとします。
仮病をする犬が悪いように思えますが、そうさせるような環境をつくっている飼い主が本当の原因です。
いま一度、飼い主らしく、きちんと犬に接してあげましょう。
暇ができてから遊び相手になってやるのではなく、定期的に遊び相手になってあげましょう。
親身に接したり、スキンシップをしたりしていれば、自然と仮病もしなくなるようになります。
ソファーに座ってテレビを見ていると「一緒に見たいよ」といわんばかりに犬が近づいてくることがあります。
犬もソファーの上に乗り、飼い主にもたれ掛かってきたり、膝の上に乗ってきたりすることがあります。
一見すれば、飼い主に甘えているのかなと思います。
しかし、飼い主の膝を噛んだり暴れたりはねたりしていれば、要注意です。
それは飼い主に甘えているのではなく、飼い主に対して優位を感じ始めている証拠です。
犬の世界は、上下関係が厳しい世界です。
上下関係を表現するためには、力を誇示しますが、その1つとしてマウンティングがあります。
単に興奮してじゃれ合うようなマウンティングもありますが、基本的には、優位性を誇示するための行動になります。
ただし、飼い主の上に乗るすべての行為すべてがそうとは限らないので、見極めも必要です。
もちろん膝の上でおとなしくリラックスしたり、寝ていたりするくらいならいいでしょう。
「膝の上は楽しいなあ」と思っている程度です。
しかし、膝の上に乗って暴れたり、膝を噛んだりするようになれば「自分(犬)のほうが上だ」と思い始め、力を誇示しています。
飼い主が劣位を思われ始めているか、すでに思っているかです。
そういう状態が見られれば、飼い主は絶対に許してはいけません。
すぐ振り払い、降ろさせるようにしましょう。
もちろん叩いて、痛みでやめさせるのではなく、あくまで優しく降ろさせるような方法です。
飼い主も、飼い主らしく威厳を出すために、不用意に犬を上には乗せないことです。
少し厳しいようですが、その関係がしっかりしているから飼い主と犬との主従関係はうまくいくのです。
犬を飼っているときに、自分の足をなめる行動を見たことがありませんか。
単に毛繕いやかゆみのため、ときどきなめることもあるでしょう。
しかし、1日中ずっとなめ続けていると「どうしたんだろう」と思い、気になり始めます。
そのうち皮膚がただれ、血が出るまでなめていれば、さすがにほうっておけません。
まず考えられるのは、何か皮膚病にかかっているのではないかという可能性です。
痛みやかゆみで、気になってなめている場合があります。
足の様子を細かくチェックして異常を確認してみましょう。
わかりにくければ、一度、動物病院に連れて行き、獣医師に見てもらうといいでしょう。
もしそれでも特に異常が見つからなければ、おそらく「ストレス」が原因と考えられます。
犬が何か不安を抱え始めている証拠です。
例えて言うなら、人間が指をしゃぶっているのと同じです。
幼い子どもが、自分の指をしゃぶっている光景を見たことがあると思います。
自分の指をなめることで心の不安など紛らし、自分で自分を慰めたりいたわったりしようとしています。
親からの愛情が乏しかったり、待遇が厳しすぎたりすると、甘える対象がいないので、自分で自分の指をなめていたわろうとします。
犬も同じです。
飼い主からの愛情が乏しかったり、逆に飼い主から厳しい待遇を受けすぎていたりすると、不安を感じます。
甘える対象がいないので、仕方なく自分で自分の足をなめて自分をいたわろうとします。
接している時間が短すぎていませんか。
逆に、連日しつけに力が入りすぎて、厳しく接しすぎていませんか。
何かつらいお仕置きを与えていませんか。
意外なところで、退屈もストレスの原因になります。
何もすることがないのは、虚無感によってストレスをためやすくなります。
少し意識改革をしましょう。
「飼い主として」より「親として」接するように心がけましょう。
もちろん本当の生みの親ではありませんが、飼っているペットにわが子のように愛情をたっぷり注いで接してあげます。
そういう感覚を持っていれば、自然と親らしい愛情を持って接することができるようになります。
散歩をしたり、ボール遊びやフライングディスクなどをしたりして接する機会を増やせば、なめる癖は自然と治まるはずです。
夫婦で犬を飼っていると、子宝に恵まれることがあります。
赤ちゃんの誕生です。
家族が1人増え、よりにぎやかになりますね。
犬の性格もおとなしく、飼い主の言うこともよく聞くので、赤ちゃんも受け入れてくれるだろうと思いますが、どうでしょうか。
犬の性格にもよりますが、赤ちゃんが生まれてから、急に犬の態度が悪くなる場合が多いようです。
態度が悪くなる理由は、主に2つあります。
ある日を境に、急に新しい人が家族に加わることになります。
当然、犬には「誰だよ」と思います。
よほど人間慣れした犬ならいいですが、普通は警戒心を示すはずです。
今まではおとなしかった犬が急に騒がしくなったり、吠えたりすることがあります。
第2の理由は、赤ちゃんへの嫉妬心です。
赤ちゃんが生まれれば、当然、家族全員の注目が一斉に赤ちゃんへ向くことになります。
しかも産まれたばかりですから、その注目だけでなく、愛情まで赤ちゃんに向くはずです。
そうなると、今まで独占していた家族からの注目や愛情を、赤ちゃんに奪われることになります。
犬は赤ちゃんに対して嫉妬心を抱いて、仲が悪くなりやすいです。
こうした理由によって、赤ちゃんが生まれてから、急に犬の態度が悪くなる場合があるようです。
では、どうすればいいのでしょうか。
基本的に、生後間もない赤ちゃんの場合、やはり犬とは別々の部屋にしておくほうがいいでしょう。
よほど人間慣れした犬の場合は、一緒にしてもいいでしょうが、あまりおすすめはできません。
万が一、犬が赤ちゃんを襲ったり噛んだりすれば大変です。
たとえ弱い力で噛んだとしても、未熟な赤ちゃんには深い傷になる可能性もあります。
犬の足が、寝ている赤ちゃんの目に突き刺されば大変です。
赤ちゃんは免疫力も弱いですから、犬の口に含まれる雑菌によって病気や炎症を起こすことも考えられます。
では、どのタイミングで赤ちゃんと犬とを触れさせるのかというと、しっかり立って歩けるようになってからがいいでしょう。
しっかり立って歩けるようになれば、犬より視線が高くなるので、主従関係が結びやすくなります。
ただ、やはり一概には言えないので、犬と赤ちゃんとの様子を見ながら慣れさせていくといいでしょう。
なにより大切なことは、赤ちゃんが生まれても、犬には愛情があることをきちんと示すことです。
赤ちゃんに偏りがちな注目や愛情を、きちんと犬にも向けてあげましょう。
赤ちゃんが家族に加わった後も、加わる前と同じように犬の世話をするなどの愛情を続けてあげましょう。
犬は、穴を掘って、餌の一部を埋める習性があります。
屋外で飼ったことがある人なら目にしたことがあると思います。
私が実家で飼っていた犬も、餌を与えて最初は食べますが、しばらくすると穴を掘って埋めようとする光景を何度も見ました。
犬小屋の周りは、いつも穴だらけでした。
これは犬が野生時代だったころの名残です。
野生時代だったころ、獲物にありつけるタイミングは不定期でした。
捕らえた獲物のうち食べきれない分は、後でも食べられるよう誰にも見つからないところに穴を掘り、埋めて隠していました。
また埋めようとするものは、食料だけとは限りません。
おもちゃや飼い主の靴など、犬が遊ぶものとして使うものもよく埋めて隠すようです。
水口家でも、片方の靴がないと思えば、犬が穴を掘って隠していたこともありました。
隠すことで「誰にも取られないぞ」という安心感を得たいようです。
人間が大切なものを金庫に入れて保管するような安心感に近いのでしょう。
貴重なものほど「失いたくない。いつまでも残しておきたい」という気持ちは、犬も変わらないようです。
しかし、穴掘りが常に保管目的とも限りません。
単に、穴を掘って終わりになる場合もよくあります。
これはほとんどの場合、退屈しのぎでやっているようです。
リードで小屋につながれているときは、暇な時間も多くなります。
「退屈しのぎに穴でも掘るか」と思っています。
こうした習性は、犬によって違いがありますが、特にテリア系の犬は、頻繁に穴を掘ることでしょう。
スコティッシュテリア、ヨークシャーテリア、ジャック・ラッセル・テリアなどのテリア系の犬です。
テリア系の犬は、もともと土の中にいる小動物の狩猟用として育成されてきたため、穴を掘る習性が特に強いです。
犬のための理想としていえば、犬の好きなように穴を掘らせてあげるのがいちばんです。
穴を掘ることで運動にもなりますし、ストレス発散にもなります。
肉体的にも精神的にもいいですが、やはり家庭によってはどうしても穴を掘られては困るというところもあるでしょう。
もしどうしても穴を掘られたくなければ、コンクリートの上に犬小屋を移せば、穴を掘ることはなくなります。
またコンクリートの敷地がない家庭では、コンクリートに代わるような木の板や鉄の板などを敷くのもいいでしょう。
犬が意味もなく、無駄に吠えることを「無駄吠え」と言います。
宅配の人がやってきたときに無駄に吠えたり、何もないのに突然吠え始めたりなどです。
飼い主としては「静かにしなさい」「ダメ」と言って静かにさせようとすることでしょう。
それで素直に静かになればいいですが、たいていは手こずります。
この無駄吠えに、悩んでいる飼い主も多いのではないでしょうか。
なぜ、無駄に吠え続けるのかというと、吠える原因が解消されていないからです。
無駄吠えの「無駄」という解釈は人間都合です。
実は、犬にとって意味のない無駄吠えはありません。
必ず理由があります。
恐れる気持ちをかき消そうとするため、飼い主に危険が迫っていることを知らせるため、相手を脅すためなどさまざまです。
その原因がきちんと解消されないかぎり、飼い主がいくら「静かにしなさい」と言っても吠え続けてしまいます。
もし、犬が無駄吠えを始めたら、まず何に対して吠えているのかという原因を探ってください。
飼い主には「無駄」に思えるかもしれませんが、必ず原因があるはずです。
人に対してなのか。
ストレスに対してなのか。
寂しいというストレスなのか。
この原因は一概には言えず、家庭・環境・状況によりさまざまです。
ちなみに私が実家で飼っている犬は、寂しいときによく無駄吠えをします。
夕方、急にワンワンと吠え始め、最初は何の意味なのかわかりませんでした。
しばらく経ってわかりましたが「飼い主さん! 散歩の時間ですよ。お忘れじゃないですか」という意味で吠えていました。
飼い主がうっかり散歩を忘れていると、犬から催促が入ります。
もちろん一例です。
無駄吠えのほかにもさまざまあります。
人に慣れていないため、来客に吠えたり、何かのストレスを感じていたりなど、必ず何か意味があります。
ただ無駄吠えをやめさせるのではなく、その原因を見つけて、対策をとりましょう。
留守番に慣れていない犬を、いきなり長時間留守番させると、たいてい大変なことになります。
無駄吠えをしたり、部屋中におしっこを撒き散らしたり、花瓶を倒したり、ソファーや柱をかじったりなどめちゃくちゃにします。
泥棒に入られたのではないかと見間違えるほど、ひどく荒らされることでしょう。
なぜ、ひどく荒らしてしまうのか。
これは、犬が飼い主に置いてきぼりにされたという強い不安感を抱くためです。
「1人にしないで」「寂しいよ」「部屋から出して」という強迫観念にとらわれ、暴れ回ってしまいます。
留守番に慣れさせるには、段階が必要です。
最初は、3分を目安に、飼い主が部屋から離れてみます。
問題ないようでしたら、10分、15分、30分、1時間というように、ステップアップしていきましょう。
しばらく経てば、飼い主はきちんと戻ってくることをわからせるためです。
段階を経てしつけていけば、次第に犬も「飼い主不在」の状況にも慣れ、留守番が上手になります。
しかし、です。
普段は留守番に慣れているはずの犬が、ある日の留守番中のこと、なぜか部屋のものをめちゃめちゃにしていることがあります。
留守番に慣れていない犬がいきなり長時間も留守番をさせられたなら、そうした行動はわかります。
しかし、留守番に慣れているはずの犬が、幼犬に戻ったかのように部屋を荒らせば「どうしたのだろうか」と思います。
この場合、別の原因が考えられます。
留守番中に、うっかり花瓶を落としてしまった。
犬は「飼い主が帰ってくれば、ひどく叱られるに違いない。どうしよう」と不安感に駆られ、焦って走り回ってしまった。
その結果、余計に部屋をめちゃめちゃにしてしまうという悪循環を起こした、という可能性が考えられます。
後で叱られるに違いないとわかると不安になるのは、人間も犬も同じです。
普段から厳しい飼い主の場合、犬は悪いことをした後「飼い主に叱られる」という強迫観念を抱きやすいです。
そういうときは、飼い主は犬にお仕置きとして厳しく当たりすぎていないかチェックしてみましょう。
厳しすぎるお仕置きがあるのは、いくらしつけとはいえ、強い恐怖を与えすぎます。
人間でも、厳しすぎる親に育てられた子どもはやつれきってしまい、非行に走りやすくなりますが、犬の場合も同じです。
飼い主が厳しすぎると、犬はやつれきってしまい、非行へと走りやすくなるのです。
私の実家周りでは、よく野良犬がうろうろしているのを見かけます。
小学生のころ、学校からの帰り道、まれに野良犬と遭遇することもありました。
団体の場合なら、たいてい犬のほうが逃げていきますが、私が1人で帰っているときにまれに野良犬と会うこともありました。
しっぽを振って好意的に近づいてくればいいですが、出会うやいなやすでに警戒心を抱いて、牙を見せてうなる犬もいました。
お互いに警戒して、身動きが取りづらい状況です。
そんなとき、どう対応していいのか困りました。
走って逃げようとすると、なんと犬が追いかけて来たこともありました。
「噛み殺される!」
一瞬、覚悟を決めました。
幸い、私は走るのが速かったおかげでなんとか振り切ることができました。
しかし「噛まれるのではないか」という恐怖体験を、今でも覚えています。
そんな話を祖父にすると、いいアドバイスをもらいました。
「犬から逃げるときには、走って逃げるのではなく、忍び足で逃げなさい」
そんな祖父のアドバイスのとおり、うなる犬を見かけたときには、ゆっくり忍び足で離れると、うまく振り切れるようになりました。
犬は「逃げようとするものを追いかけたくなる」という狩猟本能があります。
野生だったころ、野ウサギや小動物を追いかけて捕まえていました。
そのため、逃げようとするものを見かけると、狩猟本能に火がついて、余計に追いかけたくなります。
怖い犬と対面して逃げようとすると、逆に追いかけられるのは、そういう理由でした。
もし、野良犬と対面して緊迫した状態になれば、走って逃げたい気持ちを抑えて、逆にゆっくり離れたほうがいい。
そのほうが犬の狩猟本能を刺激せずに、うまく逃げることができます。
そういう機会は少ないかもしれませんが、いざというときに役立つかもしれません。
犬の社会といえば、リーダーを頂点とする「ピラミッド型」が有名です。
すでにご存じの方も多いことでしょう。
わかりやすいイメージとしては、ピラミッドの頂点に社長がいて、下にいくにつれ、部長、課長、係長、社員という感じです。
リーダーが多くの犬を引っ張っていきます。
では、なぜピラミッド型の社会を形成するようになったのでしょうか。
その理由は、はるか昔の野生だったころ、そうせざるを得ない事情があったようです。
犬の祖先をたどれば、5500万年前のミアキスに行き着きます。
森の中でミアキス同士の生存競争が始まりました。
そのうち一部のミアキスは3500万年前、森を出て、草原で暮らし始めます。
これが、のちの犬になるといわれています。
草原にいる生き物は比較的、体が大きくて強い生き物が多いのが特徴です。
その体の大きな生き物を捕らえるために、1匹だけで立ち向かうのは危険が伴いました。
捕らえようとするとき、自分が傷つくかもしれません。
場合によっては、逆に自分が食べられるかもしれません。
その結果「集団」で行動するようになったといわれます。
1匹では弱くても、10匹が集まり協力すれば、絶大な攻撃力も防御力も高くなります。
数で勝負しようと考えました。
また、大勢が集まるためお互いが慰め合え、寂しさも紛れます。
生きるためには、やむなく集団で行動をしなければならなかった。
しかし、集団で行動するのは、たやすいことではありません。
それぞれが好き勝手に行動しては、すぐばらばらになります。
的確な判断ができ、大勢を引っ張ってくれる存在が必要です。
そこで犬は、最も力が強いものをリーダーとして選出し、リーダーを頂点としたピラミッド型の社会を形成するようになりました。
絶対的なリーダーの言うことをほかが無条件に従うことで、多くの群れを1つの生命体であるかのように動かすことができました。
「集団行動」は生きるための最適な秩序を、彼らなりに考えたうえで出来上がった結果です。
さて、飼い主は犬にしつけができるのは、このシステムがあるからこそです。
飼い主が犬からリーダーとして認めてもらえれば、飼い主は指導をしやすくなります。
「犬が聞き分けのいいかどうか」ではなく「頼りがいのある飼い主であるかどうか」が大切です。
頼りがいになる飼い主を、犬は求めています。
強いリーダーほど、自分を守ってくれると感じるからです。
飼い主は、犬から頼られるほど強いリーダーになりましょう。
それは犬にとっても最大の安心でもあるのです。
犬同士がじゃれているのと、本気でけんかをしているのは、見た目はそっくりです。
うなり声を出して飛びかかり、噛みつこうとします。
私も小学生のころは、何匹もの犬を同時に飼っていたことがあります。
犬同士がじゃれているのか、本気でけんかをしようとしているのか、初めは見分けるのが難しくて苦労したことがあります。
飼い主は、じゃれているならそのままにしてやりたいですが、本気でけんかをしているなら、やめさせなければいけません。
命にも関わる点だったため、見分け方がよくわからなくて困ったことがありました。
慣れれば雰囲気で感じ取れるようになりますが、単純な見分け方を発見しました。
「牙をむき出しにしているかどうか」です。
牙をむき出しにしていない場合は、単にじゃれている場合が多く、むき出しにしている場合は、本気でけんかをしようとしています。
犬にとって牙をむき出しにするのは、本格的な戦闘態勢に入ったという意味です。
牙をむき出しにすることで力を誇示し、相手を威嚇しようとしています。
この場合は、本気でけんかをしようとしていると考えていいでしょう。
一方、牙をむき出しにせずにうなったり噛んだりするときは、単にじゃれていることが多いようです。
「お兄ちゃん、ちょっと来て! 大変!」
ある朝、外にいる妹から突然大声で呼ばれました。
何があったのかと思って向かってみると、たしかに驚くべき光景がありました。
なんと飼っていた雑種犬が、子どもを数匹産んでいました。
水口家の庭には、温室のハウスがあり、そこでたくさんの子犬を生んでいました。
初めてのことに私も驚きましたし、嬉しかったことを覚えています。
犬は一度に、5匹くらい生みます。
もちろん1匹のこともありますし、一度に5匹以上産むことも珍しくありません。
水口家の犬が一気に増えましたが、親犬もその日から子育てに大忙しになりました。
何匹もいる子犬におっぱいをやります。
たくさんの子犬を親犬1人で面倒を見ている大忙しの姿は、見てよくわかりました。
そんな中、最も印象的だった光景があります。
「親犬が子犬を噛む光景」でした。
親犬が子犬を噛んでじゃれたり、子犬を移動させるために親犬が直接子犬をくわえて移動させたりします。
しかし、じゃれているわけでも移動させているわけでもない。
ただ子犬を噛んで、いじめているような光景があります。
このときの噛み方は、普通ではありませんでした。
本気に近いような噛み方で、親犬が子犬を殺してしまうのではないかと思ってしまうほどでした。
日に日にエスカレートしているように見え、あげくには子犬が痛みで泣くほどです。
「大変だ。止めないと!」
ひどいので、親犬が子犬を噛むのを止めたこともありました。
なぜ、このように強く噛むのでしょうか。
これは、親犬が施している子犬への教育です。
噛むという行為は、犬にとっての基本です。
食べるときはもちろんのこと、じゃれ合い、犬同士との争いでも、噛んで相手と接触します。
親犬が子犬を噛んだりするのは、噛み方、噛むタイミング、噛む力など、実践を通してトレーニングしているのです。
小さいころから犬世界のルールや厳しさを教えるためです。
社会勉強をさせていると考えていいでしょう。
人間でも、愛するわが子ほど強くなってもらうために、親が厳しくなりますが、犬の場合も同じです。
生んだ子犬の将来を思うからこそ、犬世界のルールを教えてあげようとしています。
たいていの場合、ほうっておいてかまいません。
横やりを入れたいところですが、むしろ横やりは犬の成長を阻害する場合が多い。
そもそも飼い主は人間ですから、犬社会のルールを教えようとするのは無理があります。
犬社会のルールを教えるのは、犬に任せるのが最もスムーズになるのです。
私が子犬たちとじゃれ合って遊んでいたときのことです。
突然、子犬にがぶり!
いきなり強い力で噛まれました。
牙が皮膚を貫通し、血がだらだら流れ始めました。
「痛い!」
私は急いで水で血を洗い、ばんそうこうで傷を手当てしました。
子犬だと思い、私も気を抜いていたのも悪かった。
子犬であろうと、本気に近い力で噛まれると、かなりの傷を負います。
仲のいい飼い主を獲物と見間違えたのでしょうか。
あなたにも似たような経験はありませんか。
犬とボールで遊んだり、じゃれ合ったりしているときに、突然、強く噛まれることがあります。
なぜそんなことになるのでしょうか。
じゃれているうちに夢中になり、力の加減を忘れてしまうからです。
これは特に子犬に多く見られます。
子犬はまだ力の加減や調整が難しくて、夢中になると冷静さを忘れてしまいやすいからです。
こういうときは、飼い主は大きな声で「痛い!」と言って、犬を強めに叩いてください。
基本的に犬を叩くのはよくないですが、この場合は例外です。
現行犯として、しっかり叱ることが必要です。
血が流れていて、実際に傷を負っているとなると、笑い事では済まされない。
いくら悪気がないとはいえ、傷を負わすような悪行を働いたときには、きちんとしつけることが必要です。
弱い力でいいので、軽く頭を叩いて「絶対にやってはいけません」という意思表示をしましょう。
飼い主だったから良かったものの、もし他人なら大変です。
犬は冷静さを保ちながら、じゃれることができるようになります。
犬を室内で飼っていると、必ずあさられる場所があります。
ごみ箱です。
燃えるごみや燃えないごみに問わず、ごみ箱の中に顔を突っ込んで興味津々になってあさり始めます。
犬はこうした箱物が大好きです。
狩猟本能で、小さな洞窟の中には小動物が隠れ潜んでいると思ってしまい、つい顔を突っ込んで獲物探しをしてしまいます。
特に大好きなのは、生ごみを入れたごみ箱です。
食事のかすや残り物を入れますが、犬はにおいに反応して、生ごみの袋に頭を突っ込んであさろうとします。
またにおいの種類によっては、生ごみのにおいは小動物のにおいに似ていたりします。
「何か食べられるものはないのかな」とごみ箱に頭を突っ込みます。
しかし、いくらおなかがすいているとはいえ、生ごみをあさらせるのは良くありません。
やはり衛生面で問題があるからです。
腐っているものをうっかり食べてしまうと、おなかを壊してしまう原因になりかねません。
通常のごみ箱の中にも、ホチキスの針や鋭い刃物が混ざっていることもあります。
うっかり飲み込んでしまえば、口の中のけがになります。
万が一、食道で詰まらせれば大変です。
ごみ箱をあさり始めれば、すぐやめさせるようにしましょう。
飼っている犬が子犬の場合は、背の高いごみ箱に変えたり、ごみ箱が倒れないように固定したりします。
最もおすすめなのは、ごみ箱にふたをすることです。
ごみ箱の種類によっては、ふたのついたごみ箱があるはずです。
ごみを入れるときだけ、ふたの爪を外して入れるようにすれば、たとえごみ箱が倒れても、あさられる心配はありません。
犬を飼い始めれば、ごみ箱の種類にも気を使い、工夫しましょう。
ある日の夕方のことです。
私は銭湯に行くため、細い路地裏を歩いていたときのことです。
路地の曲がり角から大きなゴールデン・レトリバーが現れ、勢いよく走ってこっちに近づいてきました。
「歩いて」ではなく「走って」です。
逃げようと思いましたが、細い路地という場所のため、逃げようがなかった。
「危ない。噛みつかれる!」
男なのに「きゃっ!」という女性のような声を出して、身構えてしまいました。
しかし、犬が近くによると、特に何もすることなく襲われることはありませんでした。
どうやら人懐こい犬のようです。
その後飼い主と思われるおばあさんが現れて「ごめんね」と言いながら近づいてきました。
正直言って、心臓には悪い体験でした。
ときどきこういうケースがあります。
自分で飼っている犬はとてもおとなしくて、人にもなれ、吠えることもない。
しつけもよくされている。
問題ないと思って、散歩のときにリードを外してしまう飼い主がいます。
基本的に、飼い主は散歩のとき、リードを外してはいけません。
放し飼いで良いとされる場所や管理されている場所ならいいですが、一般の公道は厳禁と思っていいでしょう。
日本の場合ですが、それぞれの都道府県が定める条例に、リードを外してはいけないという規定を設けている都道府県もあります。
そもそもマナーとしてリードを外すべきではありません。
飼い主はよくても、ほかの人が迷惑です。
私のように近づいてきた犬に対して驚くのは当然です。
また人によっては正当防衛のため、逆に攻撃し返す人もいるかもしれません。
世の中には、犬が大の苦手な人もいますし、犬に対して皮膚アレルギーを持っている人もいます。
「では、車も人も少ない田舎ならいいのでは」
たしかに車や人が少ない場所なら良いような気がしますがどうでしょうか。
そのときはいなくても、ふとしたタイミングで車が現れて引かれる可能性もありますし、人が家から出てくる可能性もあります。
リードから離して迷子になり、そのまま飼い主のところに戻ってこなくなる可能性もないとは言い切れません。
人の安全面を最優先に考えて、外出する際は犬をリードにつないでおくほうがいいのです。
本来、犬は「笑う」という表情をつくることはできません。
「寂しさ」「怒り」などの表情はありますが、面白くて笑う笑顔をつくることは本来できないはずです。
笑った笑顔をつくるのは高度であり、できるのは人間くらいです。
しかし、です。
長年犬と連れ添っていると、犬が笑顔の表情を見せ始めることがあります。
長年連れ添っている犬のすべてがそうなるわけではありませんが、そうした事例は数多く耳にしたことがあります。
私の場合、他人が飼っている犬が笑顔になるところを、何度か見たことがあります。
たしかに人間のつくる笑顔とそっくりの顔でした。
歯を見せ、目尻にしわが寄り、にこっと頬がつり上がり、人間がつくる笑顔そのものです。
単なる噂ではないことはたしかです。
なぜ、笑えるようになるのでしょうか。
これは、飼い主が笑っている表情を犬が真似したためです。
犬に話しかけるとき、いつも笑顔になってにこにこしていると、まれに飼い主の表情を犬が真似をし始めることがあるようです。
「真似」とは、人間だけでなく、あらゆる動物に共通する学習手段です。
その結果、犬も嬉しいときに顔で表情をつくって、表現する場合があります。
特に、表情が豊かな飼い主に育てられると、笑顔をつくる犬になりやすいようです。
ペットは飼い主に似るとはこのことなのです。
多くの飼育書を読んでいると、矛盾が書かれている場合があります。
「犬は集団生活をするため飼い主のそばのほうが安心する」と書かれている一方で「犬と一緒に寝てはいけない」矛盾です。
飼い主のそばがいいなら、寝るときも一緒のほうがいいのではないかと思います。
一緒に寝るべきかどうか迷う飼い主も多いのではないでしょうか。
結論から言えば、例外は除き、一緒に寝ないことをおすすめします。
主な理由は3つあります。
まずいちばんの心配は衛生面です。
屋外で飼っている犬と、寝るときだけ一緒に寝るということは、まずないと思います。
屋外で飼っていると、ノミやシラミがついている可能性がありますし、衛生的ではないからです。
では、室内で飼っていれば衛生面で問題ないかというと、一概に問題がないと言えません。
たしかに屋外に比べれば清潔ですが、家の中もダニがいます。
また散歩で外出しているタイミングで、ノミやシラミなどをもらってくるかもしれません。
肛門周りがシーツに触れることもあるでしょう。
忘れがちなのは、毛の問題です。
犬の毛はよく抜け落ちます。
犬と一緒に寝ていると、毛がつきやすくなり、布団を洗う回数も多くなってしまいます。
野生の犬同士が寄り添って寝る場合の多くは、同じ階級の仲間同士です。
本来の犬社会では、リーダーと部下は近くで寝ることはあっても、体を温め合いながら一緒に寝ることはほとんどありません。
集団という単位を保ちながらも、リーダーの威厳があるため、寝るときは少し距離を置いて寝ます。
もし飼い主と一緒になって寝てしまうとどうでしょうか。
飼い主をリーダーではなく、同じ階級と思うようになる可能性があります。
同じ階級と思うようになると、主従関係が崩れ、犬が飼い主の指示を聞きにくくなる可能性があります。
主従関係を保つためにも同じ部屋で寝るまではOKですが、寝床だけは分けたほうがいいでしょう。
犬がいつまでも飼い主と一緒に寝るのは、子どもが成長しても親と一緒に寝るのと同じです。
もちろん幼い時期は親と一緒に寝るのもわかりますが、大人になっても一緒に寝るのは要注意です。
年齢を重ねた大人にもかかわらず、親と一緒のベッドでないと寝られないのは、寂しさを克服できていない状態です。
たしかに犬は集団生活をして、孤独を嫌う動物ですが「1人では寝られない」と「1人でも寝られる」とでは大違い。
飼い主との集団生活をしながらも、ある程度の孤独にも強さを持たなければなりません。
自立心を養うためにも、飼い主とは少し距離を離したほうがいいでしょう。
1人で寝させるようにしたほうが、精神的に強い犬へと育ちやすくなります。
「衛生面」「主従関係」「精神的成長」という3つの点から、基本的には飼い主が犬と一緒に寝るのは控えたほうがいいでしょう。
ただし、絶対に寝てはいけないわけではなく、例外もあります。
生まれたばかりの子犬の場合は、飼い主のそばにいたいため、泣きやまないこともあるでしょう。
またペットショップから引き継いだばかりのときは、環境の大きな変化のため誰かのそばにいたがります。
犬が、けがや病気をしてほうっておけないときもあるでしょう。
そういうときには「しばらく飼い主と一緒に寝る」という例外はあっても大丈夫です。
しかし、先ほど言ったとおり、いつかは寝床を分けて寝るようにしましょう。
愛犬と一緒に寝たいのはわかりますが「衛生面」「主従関係」「精神的成長」から、卒業しなければならない覚悟が必要です。
私の実家で飼っている雑種犬は、ときどき夜中に不思議な行動をします。
突然、遠吠えを始めます。
「わんわん」という吠え方ではなく「わおーん」という伸ばした吠え方です。
しばらくすると、ほかの家庭で飼っている犬まで「わおーん」と遠吠えを始め、合唱が始まります。
頻繁に見かけるわけではありませんが、まれにそういうことがありました。
屋外で犬を飼っている飼い主なら、同じようなところを目にしたことがあるのではないでしょうか。
これは、どのような意味があるのでしょうか。
実はこの遠吠えは、孤独に弱い犬だからこそする習性です。
犬が野生だったころは、集団で行動していました。
群れからはぐれてしまったとき、本来の群れの位置と自分の位置を把握するために、お互いが遠吠えをし合ったといわれています。
しかし、初めは位置を確かめるためだった遠吠えが、次第に「寂しさを和らげるため」へと役目を変えていったと言われます。
1人になったとき、寂しさに耐えきれなくなり「寂しいよ。ほかに誰かいないかい」と遠吠えをした。
その声を聞きつけたほかの犬が「大丈夫だよ。俺はここにいるよ。君は1人じゃないよ」と、慰めるために吠える。
このように寂しさを紛らしたり、慰めたりするために、遠吠えをするようにもなりました。
この名残が現代でも続いています。
遠くで聞こえた遠吠えはもしかしたら、その家はご主人の帰りが遅いのかもしれません。
もしくは、あまり飼い主から相手にされていない可能性もあります。
そうした寂しさに耐えきれなくなり「寂しいよ。おーい。ほかに誰かいないかい」と寂しさを紛らすために、遠吠えをした。
その声を聞きつけたほかの犬が「大丈夫だよ。俺はここにいるよ。君は1人じゃないよ」と、慰めるために吠える。
遠吠えを聞きつけたほかの犬も2次的に反応して、しばらく遠吠えの合唱が続くと考えられます。
場合によっては、何十匹もの犬が一斉に遠吠えをしているようです。
自分が孤独に弱いからこそ、寂しがっているほかの犬を積極的に慰めようとしているのです。
犬と戯れていると、急に犬がひっくり返ってあおむけになり、おなかを見せてくることはありませんか。
初めてみたときは、何をやっているのかと思います。
これは「参りました」という「完全な服従」を意味しています。
人間でいう「降参しました」「それ以上攻撃しないで」と白旗を掲げている状態です。
飼い主と戯れていると、飼い主との力関係を感じて、飼い犬が完全なる服従を表現することがあります。
もちろん犬同士でも見られます。
初対面から仲良くなる場合もありますが、犬同士の相性によっては、出会うやいなや牙をむいて均衡状態になることがあります。
しばらく小競り合いが続けば、どちらのほうが力は上なのかがだいたいわかり、下だと思った犬はあおむけになるはずです。
すると、小競り合いは収まり、一転して仲良くなるはずです。
それは、犬の上下関係が明確になったためです。
上下関係がはっきりすることで、偉そうにする上司と、こびを売る部下のようにどういう態度で接するべきかが明確になりました。
しかし、またなぜおなかなのでしょうか。
おなかは毛が少なく、皮膚も薄くて傷つきやすく、犬の体の中でも弱点にあたるところです。
そこを自分から見せることで「完全に譲歩しています」という意思を表現できます。
もし飼い主の前で犬が突然こういう態度を取れば、それ以上犬と戯れるのはやめて、優しくさすってあげるといいでしょう。
あらためて考えると、不思議なことがあります。
なぜ犬は泳ぐのがうまいのでしょうか。
人間の場合、最初から上手に泳げる人はいません。
泳ぐどころか、まずは立って歩く練習から始まります。
2本足で立って歩けるようになるまでに、およそ1年かかります。
その後何年もかけて水に慣れ親しんだ後、ようやく泳ぐ練習が始まります。
クロールであれ平泳ぎであろうと、まず泳ぎ方があり、何度も練習を重ねてようやく習得できます。
「泳ぐのは難しい」
最初は誰もがそう思うはず。
慣れていない人なら、たった10メートル泳ぐだけでも大変です。
しかし、犬は生後1カ月も経てば、自然に泳げるようになります。
犬には「犬かき」という得意な泳ぎ方があります。
なぜか、誰に教わることもなく、初めからマスターしています。
しかもかなり長い距離を泳げます。
すごいと思いませんか。
なぜでしょうか。
はるか昔から、犬は水と触れ合う歴史が長いためです。
人間は、犬にさまざまな作業のお手伝いをしてもらっていましたが、地の上だけではありませんでした。
水の上での仕事もありました。
たとえば、ゴールデン・レトリバーやウォーター・スパニエルは、水に関わる仕事をしていた過去があります。
池や湖の上を飛んでいる水鳥を、漁師が弓矢などで打ち落とし、犬が泳いで取りに行く仕事をしていました。
また漁師の網を一緒に引いて、手伝っていた犬もいます。
人との付き合いが始まり、泳いでする仕事の歴史が長くなった。
その結果、泳ぎ方があらかじめ本能として組み込まれました。
すごいですね。
人間も、泳ぎ方を本能に埋め込ませたいところです。
しかし、いくら犬は泳ぎが得意とはいえ、無理やり泳がせるのだけは控えるようにしましょう。
犬の性格によっては、水が苦手な犬もいるでしょうし、泳ぐのが苦手という犬もいます。
うっかり溺れることもありますし、仕方ない事情を除いて、泳がせようとするのは控えたほうがいいでしょう。
「おや。今日は犬のおしっこの色が変だぞ」
もしこうした疑問を持ったら、まずあなたが素晴らしい。
本来、糞をまじまじ見ることは良くありません。
汚いです。
むしろ目を背けたくなります。
本来、おしっこや糞の色は、健康の重要な指標の1つです。
体の中から出てきたものですから、体の中の状態を知ることができる、重要な手がかりの1つです。
たしかに汚いものではありますが、これほど確かめるべきものもありません。
糞の色の変化に気づいた飼い主は、しっかりしています。
それに気づけるというだけでも「飼い主」として合格といえるでしょう。
さて、問題なのは「なぜ色がおかしいのか」という点です。
これは一概には言えません。
飲んだ水分の量が少なすぎたり多すぎたり、食べた餌の種類が変わったりなどさまざまな理由が考えられます。
季節の変化によっても変わることがあります。
しかし、たいていの場合は一時的なものです。
もしこれがいつまでも続くようなら、何らかの異変が体内で起こっている可能性があります。
動物病院で獣医師に診てもらうといいでしょう。
何か異常が見つかる可能性もあります。
大切なことは、まず「気づくこと」です。
それが犬を育てるために必要な飼い主のセンスなのです。
犬の健康には「タンパク質」と「カルシウム」が欠かせません。
牛乳には、このタンパク質もカルシウムも豊富に含まれています。
健康に良いと思い、水の代わりとして与えている家庭も多くあると思います。
しかし、犬に牛乳をやると、下痢を起こす場合が多いようです。
どろどろ状になった糞をしやすくなります。
なぜでしょうか。
牛乳には「乳糖」という甘み成分が含まれています。
この甘み成分は、通常は「ラクターゼ」という酵素で分解されます。
生まれたばかりの子犬のころは、体内にたくさんラクターゼがあるため、母犬のお乳や牛乳なども消化できます。
ですが、成長するにつれて次第に少なくなります。
そのため成犬の多くは、牛乳を飲んでしばらくすると、ラクターゼ不足のため乳糖を分解しきれず、下痢を起こしやすくなります。
基本的に、牛乳は与えないほうがいいでしょう。
タンパク質やカルシウムなど、犬に必要な栄養分も含まれていますが、下痢をしてしまうのでは栄養分の吸収もできず台無しです。
ただし、これも体質によります。
犬の種類によっては、牛乳を飲んでも平気な犬もいるようです。
飼っている犬の体質を考えながら、飲ませて良いかの判断をしましょう。
「おいでおいで」
室内で飼っている犬を、リードでつなごうと思い、呼ぶことがあります。
一応、振り向きはしますが、その後は無視。
確実に聞こえているはずなのに、聞こえないふり。
場合によっては、逃げようとさえします。
そんな経験はありませんか。
そういうケースにはある共通点があります。
たいてい、呼ばれて飼い主のところに行けば、リードにつながれる場合です。
リードにつなげる前に、いつも「おいで」と言っていると、犬はこの言葉に拒否反応を示すようになります。
聞こえていても聞こえないふりをしたり、逃げたりします。
なんと賢いのでしょう。
犬の学習能力は、高いです。
では、こういうとき、どうすればいいのでしょうか。
まず「リードでつながれること=嫌なこと」という印象を取り払うことが大切です。
リードでつながれていても、楽しいことはたくさんあるよと思わせます。
リードでつないだ後に、グルーミングをしてあげたり、頭をなでてあげたりなどしてあげましょう。
たとえつながれたとしても、楽しいことが待っていると思わせることができれば、言うことを聞いてくれやすくなります。
初対面の犬同士が出会うやいなや、いきなりお互いのお尻を嗅ぎ合う光景があります。
肛門周りといえば、糞がついて衛生的ではありません。
「なぜいきなりそんな汚いところを? まさか、糞のにおいが好きなの?」
いえいえ、そうではありません。
実は、肛門の近くには「肛門腺」と呼ばれる部分があります。
肛門とは別の穴です。
犬が出会いがしらに、いきなりお尻を嗅ぎたがるのは、この肛門腺から出る独特のにおいでした。
肛門腺からのにおいは、おしっことも糞とも違う、独特のにおいがあります。
人間には「くさい」というくらいしかわかりませんが、人の100万倍もの臭覚を持つ犬には多くの情報源になります。
性別・性格・強さ・発情状態、また驚くことにそのときの気分までがわかるとされます。
いわゆる自分のことを説明する名刺のようなものです。
いえ、人間以上に多くの情報が詰まっている名刺と言ってもいいでしょう。
お尻のにおいを嗅ぎ合うのは、名刺交換をして、しばらく会話をしているような状態です。
人間から見れば恥ずかしい行為ですが、もし状況が許せるなら、そのままにしておいてあげたほうがいいでしょう。
むしろ、におわせてあげることをおすすめします。
人間でもそうですが、相手のことがよくわかると安心ができますし、仲良くなりやすくなります。
犬の場合も、相手のことがよくわかるほうが、上下関係や距離感などをつかみやすくなり、仲良くなりやすくなるのです。
日本のことわざに「犬も歩けば棒に当たる」という言葉があります。
犬も散歩をしていれば、たまには電柱などに頭をぶつけることから、物事を行う者は、時に災いに遭うという意味で使われます。
犬が電柱や壁に頭をぶつけるなんて、ほほ笑ましい光景ですね。
しかし、もし「たまに」ではなく「頻繁に」、壁や電柱に頭をぶつけるようになれば笑えません。
犬の年齢が12歳を超えていませんか。
高齢の場合、もしかしたら認知症が進み始めている可能性があります。
ぼけ始めてきています。
実は、犬もぼけるという現象が確認されています。
犬がぼけるのは、さまざまな現象があります。
認知症の現象はさまざまですが、12歳を超えた犬が、普段と違った行動が目立ち始めれば疑っていたほうがいいでしょう。
また、統計としては、オスのほうがぼけやすいようです。
ぼけてきた犬には、厳しくするより、優しくしましょう。
たとえば、歩き方がゆっくりになれば、飼い主も犬の散歩のスピードを落とします。
排泄がうまくできなくなれば、犬用のおしめをつけておくといいでしょう。
また、認知症を軽くさせるための薬やサプリメントもあるようですから、一度検討してみるといいでしょう。