執筆者:水口貴博

犬の気持ちを理解しながら育てる30の方法

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曖昧な部分を残したほうが、犬との付き合いはうまくやっていける。

曖昧な部分を残したほうが、犬との付き合いはうまくやっていける。 | 犬の気持ちを理解しながら育てる30の方法

人間が泣くときは、どんなときですか。

「悲しいとき」

たしかに悲しいときに泣くのが一般的ですが、必ずしも悲しいときだけとは限りません。

楽しいときでも泣くときはありますし、怒っているときでも泣くときもあります。

人間が笑っているとき、どんなときですか。

「面白いとき」

たしかに面白いときに笑うのは一般的ですが、必ずしも面白いときだけとは限りません。

悲しいから笑うときもありますし、怒っているから笑うときもあります。

人がトイレに向かうとき、どんなときですか。

「用を足したいとき」

たしかに用を足すときにトイレに向かいますが、必ずしも用を足したいからとは限りません。

単に気分転換でトイレに向かうときもあります。

つまり「行動と気持ちとは、必ずしも等しいとは限らない」ということです。

ある程度、推測はできますが、それでもやはり完全ではありません。

他人からは「おそらく」という程度にはわかりますが、本当の気持ちは本人にしかわかりません。

いえ、本人ですらわかっていない場合もあります。

行動は「なんとなく」という理由の場合もあり、大きな意味を果たしていないことも多くあります。

それは犬も同じです。

ここまで、代表的な犬の気持ち、行動、対策などを紹介しました。

しかし、すべてが完全というわけではありません。

あくまで「こういう行動をするときの犬の気持ち」で、基本というだけです。

お願いしたいことは、すべて「おそらく」であって「絶対」ではないということです。

絶対と書きたい気持ちはやまやまですが、無理です。

他人である人間からは、推測しかできません。

犬の本当の気持ちは、犬しかわからないことです。

いえ、犬も、実はよくわかっていないこともあるはずです。

なんとなくだったり気分転換だったり、大きな意味はないけど「なんとなく」という理由で行動することもあることでしょう。

犬を育てるときには「断定」は避けることです。

「おそらく○○なのだろう」というくらいがちょうどいい。

そういう「曖昧さ」は大切です。

ここでは数多くの犬行動と気持ちをつなげた紹介をしてきましたが、もちろん完璧ではありません。

あくまで基本的な行動パターンというだけであって、時と状況に応じて多くの変化があります。

「そうか。犬の気持ちはわかってやれないのか」

諦める必要はありません。

完全に犬の気持ちを理解するのは難しいですが、できるだけ理解してあげようとする姿勢を維持することならできるはずです。

犬の気持ちが完全に理解できなくてもいいですから、できるだけ理解しようと心がける姿勢です。

その姿勢は大切です。

必ず犬に伝わります。

完全にわかってくれなくても、わかろうと努力している飼い主の行動から、次第に大きな信用が芽生えてきます。

その姿勢はいつまでも持ち続け「曖昧な部分」を残しながら犬と接していくのが、一番いい距離感です。

私も数多くの犬と接してきましたが、いまだに意味のわからない行動もあります。

うまく説明できない行動も日常茶飯事です。

いろいろな可能性を探りながら、犬の状態・表情・態度・行動などを見ていきましょう。

その中で、マニュアルには書かれていない独特の行動パターンを目にすることもあるでしょう。

それは飼い主と犬との間だけに通じるパターンです。

行動パターンの基本を大切にしながらも、特殊な状況も考慮に入れ、臨機応変に対応していきましょう。

犬の気持ちを理解しながら育てる方法(30)
  • 完全に気持ちは理解できなくても、理解しようとする姿勢は、持ち続ける。
まとめ

犬の気持ちを理解しながら育てる30の方法

  1. 犬が素早く動くものに反応してしまうのは、野生だったころの名残。
  2. 犬同士にも相性がある。
  3. 痛みでしつけようとすると、犬から嫌われる。
  4. 広いハウスより、狭いハウスのほうが、落ち着く。
  5. 実は、犬も夢を見る。
  6. 犬は色を見分けるのが、大の苦手。
  7. 先住犬がいる家で、新しく犬を飼うときの注意ポイント。
  8. なぜ犬は、飼い主に叱られたときほど大きなあくびをするのか。
  9. 大はしゃぎする犬を、おとなしくしつける方法。
  10. 猫は、舌の上で水をすくって飲む。
    犬は、舌の裏で水をすくって飲む。
  11. 犬用のお洋服は、単なるおしゃれだけではなかった。
  12. 「褒める量」より「叱る量」のほうが多くなっていませんか。
  13. いきなり登場したハウスに、なかなかなじんでくれないときの対処。
  14. いくらおなかがすいているとはいえ、拾い食いはやめさせる。
  15. 道端の草は、衛生的によくないので食べさせないほうがいい。
  16. 餌をやるのが楽とはいえ、出したままにするのはやめたほうがいい。
  17. なぜか自分からリードを噛み切って、飼い主のもとを離れたがる犬の気持ち。
  18. 首輪に連絡先を書いた迷子札をつけておけば、迷子になっても怖くない。
  19. よく噛んで食べさせるのを、強要しないようにする。
  20. 犬は肉食。
    好きな肉にも、順番がある。
  21. 犬のマーキング行為は、存在のアピールをする重要な役目を果たす。
  22. 犬が変なポーズで寝始めたら、飼い主は大喜びしていい。
  23. 犬が本当に成長するために必要なのは、意外にも飼い主以外の人と接する機会。
  24. 飼い主が気を配る必要があるのは、生まれたばかりの子犬より、むしろ子どもたちの行動。
  25. 水口家での飼い主と犬との間にあった、暗黙の了解。
  26. 屋外で飼うなら、犬の立場になって考える必要がある。
  27. 犬のよだれは、人の汗に相当する。
  28. においを嗅ぎ回る犬は、人がニュースを確かめることに相当する。
  29. 動物病院の選び方で大切なのは、先生の思いやり。
  30. 曖昧な部分を残したほうが、犬との付き合いはうまくやっていける。

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